将来的に海上都市が出現?国連も支持する近未来の都市計画の概要が明らかに
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海上を陸とつなげるように人工的に埋め立てその上に暮らすということは、現代においてはさほど珍しいことではない。
それでも海上に浮かぶ都市を人工的に建設するというのは、次元が異なる話のように思える。
そんな海上都市の構想が明らかとなり、注目を集めている。
1万人が居住できる海上都市
この海上都市の構想は、今月3日に国連によって開催された会議の場で明らかとなったもの。
都市のデザインは、水上に浮かぶ都市の建設を構想するベンチャー企業「Oceanix」と、建設会社「Bjarke Ingels」によって行われている。
構想が実現すれば、海上都市には約1万人もの人が居住することが可能で、洪水や津波、さらには台風といった自然災害にも耐え得るという。
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海上都市が実現すればどんな姿に?
それではこの構想が実現すれば、どのような都市が誕生するのだろうか。
海上都市は主要な沿岸都市から1マイル(約1600キロ)ほどの距離に設置されるとのことで、上空から見ると六角形に形作られた島の集合体のような姿となるという。
この六角形の島々は全体で合計6つの“村”から構成されると共に、それぞれの島には約300人の人が居住することが出来るとのことだ。
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また海上都市においては電力や水、熱といったものを都市内で生み出すと共に、自治権までもを与えることが検討されているという。
ここにおいては、環境への影響を最小限に抑える工夫が凝らされているのも特徴だ。
海上都市ではごみ収集車の代わりに、ごみの分別からリサイクルまでをも行う処理場まで、ごみを圧縮して運ぶことの出来るチューブのようなものが設置される予定とのこと。
空気を汚染するような従来の車の走行も禁止され、その代わりに自動運転車が利用されることになるようだ。
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都市の下の海においては、ホタテや昆布などといった食用海産物の生産を行うことも出来るとのこと。
地上においても建築物を利用して食糧の生産を行うことが可能であるといい、自然災害に遭った際でも自給自足することが可能となるようだ。
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さらに海上都市においては、非常時に水を空気から生み出すことの出来る機械までもが設置されるという。
また都市に建設される建物の全ては材木や竹といった、持続可能な材質によって建設されるとのことだ。
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ちなみに都市には図書館や、住人がパソコンや自転車といったものを借りることの出来る施設も建設される予定とのことで、海上にいながらも快適な暮らしを営むことが可能となりそうだ。
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国連が海上都市構想を支援する理由とは?
しかしなぜ海上都市などという、まるでSF映画のような構想が真剣に計画されているのだろうか。
国連によると、このような海上都市は地球温暖化による海面上昇の影響で水没する可能性がある都市に住む人々を救う打開策になる可能性があるとのこと。
一方、これまで海上に都市を建設するという案に対しては、実現性の面で疑問が持たれてきていた。
ところがこれについても国際連合人間居住計画(国連ハビタット)のMaimunah Mohd Sharif氏は、国連が構想実現のため支援をすると共に、指導的役割を担っていくとしている。
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OceanixのCEO、Marc Collins氏も、構想実現に向けては意気込みを見せている。
「チームの全ての人間が、実際にこれを完成させたいと思っている」とするCollins氏。
またOceanixは、海上都市は水没する可能性がある都市の人々を救うことが出来るのみならず、切迫した住宅不足への対処ともなり得るとしている。
「我々はただ理論を組み立てているのではない」
構想のためにはまだ資金が不足しているとのことで、これが海上都市計画実現のためのネックとなりそうだ。
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国連までもが支持する海上都市構想。これがいつの日か実現することを楽しみに待ちたい。(了)
出典:Business Insider :The UN is supporting a design for a new floating city that can withstand Category 5 Hurricanes(4/4)