「なぜ、イスラエルを支持し続けるのか?」米記者がホワイトハウスの報道官に質問
アメリカのバイデン大統領は3月1日、飢餓が拡大しているガザ地区に対し、人道支援物資の空中投下や海上からの支援を行う計画を発表した。
「イスラエルが問題を引き起こしているのに…」
イスラエル軍は、支援物資のガザ地区への搬入を制限しており、特に北部では人々が飢え、数日前には物資を積んだトラックに集まったパレスチナ人が、イスラエル軍によって攻撃され、多く亡くなった。
その後、アメリカ政府は、支援物資を空中から投下する計画があると発表したが、これに関するホワイトハウスでの記者会見で、メディア「ザ・ヒル」のコラムニストであるナイル・スタニッジ氏は、ジョン・カービー国家安全保障報道官に対し、次のように質問した。
「これらのリスクが、今アメリカに降りかかっているのは、イスラエルがパレスチナの人々を飢えさせているからです。つまりアメリカが現在、軽減しなければならない問題を引き起こしているのはイスラエルであるにもかかわらず、なぜ我々は依然としてイスラエルを支持するのでしょうか?」
これに対してカービー報道官は、苦し紛れに、次のように答えたという。
「イスラエル自体も、人道物資の提供を支援しようとしてきた。私が言ったように、イスラエルはほんの1週間ほど前に、自らの意思で空中投下を試みたのです。(略)ハマスが10月6日に停戦を破るという選択をしなければ、空中投下は必要なかったでしょう」
「イスラエルに義務を守らせるべき」
またアメリカ政府が支援物資を空中投下するのなら、イスラエル側にもっと圧力をかけるべきだとする反対意見も出ている。
国際的なNGO「オックスファム」のスコット・ポール氏は、バイデン政権の空中投下計画について、この取り組みは米政府関係者の「罪の意識を和らげよう」とする試みであるとし、次のように厳しく非難した。
「ガザ地区のパレスチナ人が、瀬戸際に追い込まれている中、安全な分配計画もないまま、象徴的でわずかな量の支援物資をガザに投下することは、何の役にも立たず、パレスチナ人の品位をひどく傷つけるものだ。アメリカは、ガザ地区への無差別空爆に使用される武器の、イスラエルへの流れを遮断すべきだ。そして即時停戦と人質解放を求め、イスラエルが人道支援や、その他の基本的なサービスを提供する義務を守るよう主張すべきである」
「政策の失敗を隠蔽するため」
またアメリカ国際開発庁の元長官であるデイブ・ハーデン氏は、取材に対し、ガザ地区への支援物資の投下計画は、膨大な人道的ニーズを軽減するのには効果がないとし、次のように語った。
「それぞれの投下物には、トラック約2台分に相当する支援が含まれます。そしてアメリカ空軍とその乗組員に危害が及ばないよう、高高度からの投下になると思います。しかし本当に必要なのは、より多く国境を越えさせることです。つまりより多くのトラックを毎日、通過させる必要があるだけなのです」
ハーデン氏は「アメリカには、イスラエルに対し、国境を解放させる影響力がある」と指摘。にもかかわらず、それをしないで空中投下をすることは、バイデン政権によるガザ地区での「大規模な政策の失敗を隠蔽するためだ」と非難している。
またハーデン氏によれば、高高度からの物資の投下により、ガザ地区にさらなる被害と混乱を引き起こす可能性もあるという。(了)
出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: UN, medics say many Gaza aid attack victims shot(3/2)