72年間も人工肺のシリンダーで過ごし、弁護士の資格も取得した男性が死亡
人生の大半を金属のシリンダーの中で過ごしてきたアメリカ人の男性が、先日亡くなった。
病気で自発呼吸ができず
その男性とはポール・アレクサンダーさん(78)だ。
彼は1952年、6歳の時にポリオウイルスによる脊髄性小児麻痺にかかり、首から下が麻痺してしまったという。
その後、故郷であるテキサス州の町、ダラスで手術を受け、命は救われたが、自発呼吸はできず、首まで体を囲む人工肺のシリンダーに入ることになったそうだ。
そして72年間、ポールさんはシリンダーの中で過ごしてきたが、ここ数週間で健康が悪化し、先日亡くなったことが明らかにされた。
弁護士になり、回想録も出版
ポールさんは最終的に、自分で呼吸できるようになり、短時間であればシリンダーから離れることもできるようになったという。
そして彼は高校を卒業し、南メソジスト大学に入学。勉強を続け、1984年にはテキサス大学オースティン校で法学の学位を取得したそうだ。
さらにその2年後には、弁護士の資格も取得し、数十年間弁護士として活動したという。
2020年には、棒を使ってキーボードを打ち、8年がかりで回想録を執筆。その本は実際に出版され、世界中の人々に影響を与えたそうだ。
「鉄の肺」と呼ばれるシリンダーは1960年代には時代遅れになり、人工呼吸器にとって代わられたが、ポールさんはシリンダーに慣れていたため、その中で過ごし続けたという。
そしてシリンダーの中で最も長く生きた人物として、ギネス世界記録にも認定されたそうだ。(了)
出典元:BBC:Paul Alexander: ‘Man in the iron lung’ dies at the age of 78(3/13)