1000年前に失われた古代神殿、アンデス文明の遺跡を発見

考古学者らが南米のボリビア共和国で、失われた文明都市の痕跡、古代神殿の遺跡を発見した。
最新技術を使って調査
その神殿は、ボリビア西部のラパス県にあるティワナク遺跡から、南東へ約215km離れた丘陵地帯で発見されたという。
神殿は、先住民族の名前である「パラスパタ(Palaspata,)」と呼ばれており、四角形をした土地に気づいた研究者により、最新技術を使って調査が進められたそうだ。
研究者たちは遺跡の衛星画像を撮影・編集し、無人航空機に搭載されたカメラで写真を撮影。さらに、それらの写真を用いて、神殿とその周囲の景観の三次元近似図を作成したという。
その結果、街区ほどの大きさのこの施設が、長方形の中庭を囲むように、15の四角形の区画で構成されていることが判明した。
またこの構成から、太陽が赤道の真上にくる、2年に一度の春分点の後に儀式を行うために、この神殿が使用されたことも示唆されたそうだ。

インカ帝国の前に栄えた文明
カリフォルニア大学バークレー校の考古学者、ニコラ・シャラット博士によると、ティワナク遺跡がある地域に人が住み始めたのは約1万年前で、最大2万人が定住していたという。
ティワナクの人々は熟練した石工職人であり、その文明はアンデス山脈における最古の1つと考えられているそうだ。
しかしティワナクの社会は西暦1000年頃に崩壊し、15世紀にインカ人がアンデス山脈を征服した頃、すでに町は廃墟となっていたという。
最盛期には高度に組織化された社会構造を持ち、ピラミッドや段々になった神殿、一枚岩といった建築遺跡の遺構が残っており、そのほとんどはチチカカ湖周辺の遺跡に散在しているそうだ。
ティワナクの支配と影響力がはるかに広範囲に及んでいたことは分かっているが、どれほど遠方まで支配力を持っていたのかについては、学者の間でも依然、議論が続いているという。(了)
出典元:INDEPENDENT:Ancient temple ruins discovered in Andes pull back curtain on lost society after 1,000 years(6/25)
出典元:Cambridge University Press:Gateway to the east: the Palaspata temple and the south-eastern expansion of the Tiwanaku state(6/24)