見た目もDNAもそっくり! 世界中の“ドッペルゲンガー”を撮り続けた写真家

芥川龍之介が晩年に何度も目撃したとされ、何かと不吉な印象のある「ドッペルゲンガー」。科学的に説明がつかない、生きた人間の分身を差す言葉だ。
しかし、カナダ出身の写真家フランソワ・ブリュネル氏がカメラに収める「ドッペルゲンガー」は、不思議だけどちょっと出会いたくなる存在だ。
25年間で約250組を撮影
ブリュネル氏が写真シリーズ「I’m Not a Lookalike!(私はそっくりじゃない!)」を撮影するようになったきっかけは、自身もMr.ビーンの「ドッペルゲンガー」だと感じていたから。そう、彼が撮影するドッペルゲンガーとは、「そっくりだが血縁関係のない人々」のことだ。
ドッペルゲンガーがいるのは、「自分だけではないはず」と考えて、そっくりさん同士の撮影を始めたそうだ。
そうして撮影されたドッペルゲンガーたちがこちらだ。
▼駅で間違えられたことをきっかけに自分のドッペルゲンガーの存在を知り、Facebookでつながったというふたり。会った瞬間に意気投合し、音楽や文学、そして「猫への強烈な愛」を共有し、『Crazy Cat Lady』を共に出版した。
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▼(一番手前の写真)同じ日に生まれ、同じくダンスの道に進み、モントリオールに引っ越し。そして同じタトゥー屋に通い、同じアパートに住んでいたというふたり。もちろん、お互いのことを知らない全くの他人として。
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▼血縁関係がないのが信じられないドッペルゲンガーたち
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ブリュネル氏のInstagramでは、他にも各国のドッペルゲンガーを見ることができるので、気になる方はぜひ訪れてみて欲しい。
血縁関係はないがDNAもそっくり
実はこのドッペルゲンガーたちには、見た目以外にも共通点があることが研究で明らかになっている。
スペイン・バルセロナにあるホセ・カレーラス白血病研究所は、32組のドッペルゲンガーを調査。使用した3つの顔認識ソフトの全てで、半数に当たる16組がドッペルゲンガーと認められた。また、遺伝子解析では、16組のうち9組が遺伝的変異を共有していることが判明したという。身長や体重にも類似性が見られたものの、血縁関係はないと確認されている。
さらにこれらの遺伝子は喫煙のような共通の習慣や、教育(勉強など)に対する共通の反応も行動特性にも影響を与えることがあるという。
この調査に協力したのが、フランソワ・ブリュネル氏が撮影してきた人々だ。
ドッペルゲンガー作品を出版予定
科学会にも影響を与えるブリュネル氏の作品。現在もドッペルゲンガーを募集中だ。 今年中に、撮影した約100組の写真とエピソードを収録した書籍を出版予定とのこと。
科学的にも興味の的となっているドッペルゲンガーたち。あなたの近くにも、血がつながらないけれど遺伝子の近い赤の他人がいるかもしれない。(了)
参考:USA TODAY「Photographer’s eerie lookalike inspired a search for world’s best doppelgängers」(7/17)