イスラエル軍が停戦発効以来、97人のパレスチナ人を殺害、80件の違反

ガザ地区のメディア局は、停戦発効以降、イスラエル軍が数多くのパレスチナ人を殺害したと主張している。
20日もガザ地区中部を砲撃
ガザ地区のメディア局によれば、10月10日の停戦発効以降、イスラエル軍の攻撃により、少なくとも97人のパレスチナ人が殺害されたという。
メディア局は10月20日、声明を発表し、これまでにイスラエルによる停戦違反を80件記録しており、これは国際人道法の明白な違反に当たると非難。次のように訴えた。
「これらの違反行為は、民間人への直接射撃から意図的な砲撃と標的攻撃、同時空爆、そして多数の民間人の逮捕まで多岐にわたる。これらの行為は、イスラエル軍の継続的な攻撃的姿勢、地上での緊張の高まりへの明確な願望、そして流血と殺害への絶え間ない渇望を反映している」
10月19日、イスラエル軍は「ハマス」により2人の兵士が殺害されたと主張し、ガザ地区中部と南部を空爆。少なくとも42人のパレスチナ人が殺害されたと報じられた。
しかし20日には、これらのイスラエルの攻撃により、ガザ地区全域の病院に57人のパレスチナ人の遺体が搬送されたという。
また20日にも、ガザ市東部で、自宅の様子を確認するため帰宅途中だったパレスチナ人がイスラエル軍に銃撃され、4人が死亡したそうだ。
さらにイスラエル軍は20日、ガザ地区中部のDeir el-Balahで砲撃を開始。しかし現時点で、まだ死者や負傷者の詳細は明らかにされていない。
一方、ヨルダン川西岸地区でもイスラエル人の入植者らの暴力が続いており、10月19日にはラマラのトゥルムス・アヤ村で、パレスチナ人のオリーブ農家を暴行する映像が撮影され、53歳の女性が斧のようなもので頭を殴られて、脳出血を起こしたという。
An Israeli settler assaulted a Palestinian woman while she was harvesting olives in the occupied West Bank town of Turmus Ayya.
Witnesses say around 200 armed settlers opened fire on farmers and burned cars as Israeli soldiers looked on. pic.twitter.com/dMmJq3p2hy
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 20, 2025
地中海諸国、EUも国境検問所の開放を要求
トランプ大統領の和平合意では、ガザ地区へ数多くの人道支援物資が届けられる約束だったが、現在もイスラエル軍が国境検問所を封鎖しており、十分な支援物資が搬入されていない。
「ハマス」側は、支援物資の制限について、「イスラエル側が、ガザ地区のパレスチナ人に対する飢餓政策を放棄していない」と非難している。
また地中海沿岸の9カ国の首脳も、イスラエルがガザ地区へ人道支援物資を即時に放出するために国境検問所を開くよう要求した。
地中海沿岸の9カ国、いわゆるMED9グループ(クロアチア、キプロス、フランス、ギリシャ、イタリア、マルタ、ポルトガル、スロベニア、スペイン)は10月20日、スロベニアのポルトローシュで会合を開いた。
会議後、スロベニアのロバート・ゴロブ首相は記者会見で、「ガザ地区へ流入するすべての人道支援物資の即時放出」を求め、「このような人道支援を阻止する言い訳は、誰にもできない」と非難した。
“There is no excuse to block humanitarian aid.”
Leaders from nine EU countries around the Mediterranean Sea say they fully expect Israel to open crossings into Gaza for the immediate release of humanitarian aid following the ceasefire.
🔴 LIVE updates: https://t.co/W4XXLCD4qO pic.twitter.com/3DTXcOfoqV
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 20, 2025
EUの政策執行機関である欧州委員会の平等・準備・危機管理担当委員、Hadja Lahbib,氏も、ガザ地区のパレスチナ人に人道支援物資が届くよう、イスラエルに対し全ての国境検問所を開放するよう強く要求。次のように述べた。
「ここ数日、停戦がいかに脆弱であるかを目の当たりにしてきた。人道支援は再び人質に取られている。パレスチナの人々の苦しみを和らげるためには、人道支援への完全なアクセスが必要だ。全ての国境検問所は開放されていなければならない。ガザ地区に入る支援トラックの数は増加しているものの、約束された600台には程遠い」
“All the crossing points must be open.”
Hadja Lahbib, the European commissioner for equality, preparedness and crisis management, has urged Israel to open all border crossings to allow humanitarian aid to reach Palestinians in Gaza.
🔴 LIVE updates: https://t.co/NPrGY1qOz1 pic.twitter.com/VvZo0CZ2t3
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 20, 2025
米副大統領がネタニヤフ首相と会談予定
アメリカ政府は10月20日、イスラエル軍によるガザ地区への大規模な空爆により、停戦合意が崩壊の危機に瀕したことを受け、スティーブ・ウィトコフ特使と、トランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏をイスラエルに派遣。2人はネタニヤフ首相と会談を行った。
またJ・D・バンス副大統領も10月21日には、イスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と会談する予定となっている。
ホワイトハウスによれば、J・D・バンス副大統領は、停戦合意の完全な履行を推進するために代表団を率い、最終的にはウィトコフ特使とクシュナー氏も加わる予定になっているという。(了)
出典元:Aljazeera:Live: Trump threatens ‘to eradicate Hamas’ as Israel kills dozens in Gaza(10/19)