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死海文書が眠る第12の洞窟が、約60年ぶりに発見される

死海文書が眠る第12の洞窟が、約60年ぶりに発見される
The Hebrew University of Jerusalem

古代ヘブライ語で書かれた旧約聖書の写本群「死海文書」。

 

20世紀の半ば、死海のほとりにある11の洞窟で見つかったのだが、今回写本があった可能性のある12番目の洞窟が発見されたとして話題になっている。

写本があったとされる12番目の洞窟

 

この洞窟を見つけたのは、イスラエル・ヘブライ大学のOren Gutfeld博士が率いる研究チーム。

 

英紙Telegraphによれば、彼らは政府が推進するプログラムの一環として、かつて写本が発見されたヨルダン川西岸のクムラン遺跡周辺で調査を行ってきたという。

 

その結果、新たな写本が存在していた可能性のある、第12番目の洞窟を発見したそうだ。

 

Gutfeld博士は報告で次のように語っている。

 

「このエキサイティングな発見は、約60年ぶりの新たな写本の発見に最も近づいていることを示しています。今まで死海文書は11の洞窟にしかないと考えられてきましたが、これが12番目の洞窟であることは間違いありません」

Wikipedia:第一洞窟から見つかったイザヤ書の第二の写本

小さな羊皮紙や革の断片も発見

 

しかし新しい写本がこの洞窟の中にあった、と主張する理由はどこにあるのか。

 

研究者によれば、12番目の洞窟にも他の11の洞窟と同じように、写本が収められていたものと似た陶器が粉砕された状態で見つかっているという。

 

また研究者らは布やその他のアイテムと同様に、写本をくくっていたと思われる革ひもの断片や、瓶の中で巻かれた状態だった小さな羊皮紙の断片も発見したとしている。

 

だが同時に現場には、2つの「つるはし」も見つかっており、写本自体は盗まれた可能性があるようだ。

 

Gutfeld博士は報告の中で次のようにコメントしている。

 

「結局、その日の終わりまでに写本は見つかりませんでしたが、代わりに私たちは瓶の中で丸められた状態の羊皮紙の断片を見つけました。その発見物は、この洞窟に盗まれた写本が以前はあったことを間違いなく示しています」

The Hebrew University of Jerusalem

 

現在、その羊皮紙は大学へ送られ、分析が進められている。

20世紀最大の考古学的発見

 

死海文書は1947年にベドウィン族の羊飼いにより、クムラン周辺にある洞窟で発見されて以来、10年以上にわたる調査の結果、11個の洞窟の中から約900巻(972巻)も見つかっているという。

 

ユダヤ教の一派が記したとも言われているが、他にも諸説あり、正確なところは分かっていない。紀元前250年頃に書かれたと考えられており、紀元後70年の「エルサレム攻囲戦」でローマ軍により土地を追われるまで、ユダヤ人が守っていたと言われている。

 

これまでで2番目に古い写本で、現代の聖書の源を探る上で非常に重要なものとされ、1947年当時は「20世紀最大の考古学的発見」とさえ言われたそうだ。

 

出展元:The Telegraph:Archaeologists discover new cave believed to have held Dead Sea Scrolls, 60 years after last discovery(2/9)

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