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フランスのパン屋さん、働きすぎたせいで罰金を支払うよう迫られ物議に

フランスのパン屋さん、働きすぎたせいで罰金を支払うよう迫られ物議に

“働きすぎた”として罰金の支払いを命じられたパン屋が、フランスで物議を醸している。

 

一週間休まずパン屋を開けていたとして罰金

 

“働きすぎた”として罰金を支払わなければならなくなってしまったのは、Cédric Vaivreさん。彼はフランス北東部オーブ県に位置する人口2000人ほどの小さな町、Lusigny-sur-Barseでパン屋を営んでいる。

 

Vaivreさんは2017年の夏、経営するパン屋を一週間休まずオープンさせていたとして、罰金を支払うこととなってしまったという。

 

また労働局は以前にもVaivreさんのパン屋が、毎週の休業日を設定していなかったとして、罰金の支払いを命じたことがあったとのことだ。

 

 

店を開けることは必要不可欠との擁護の声も

 

一方、この件はフランスではちょっとした物議を醸している。

 

オーブ県ではパン屋に対し、毎週休業日を設けることを定める法律が存在する。

 

しかしこれには例外も認められており、2016年まではVaivreさんのパン屋も例外として扱われていた。

 

ところが2017年には彼の店が、この例外から外されてしまったという。

 

他方でVaivreさんのパン屋があるLusigny-sur-Barseは、オリアン湖などを擁する自然公園があり、小さな町でありながら観光地として知られる場所。

 

そのため Lusigny-sur-Barse町長のChristian Branle氏までもが「観光地においては、夏季に毎日オープンしている店があることは必要不可欠なことだ。観光客がいる際に店を閉じるのは何の利益にもならない」とし、Vaivreさんの擁護に回る事態となっている。

 

「我々の地区には競合が少ないという共通認識を持たねばならない。したがって観光客がサービスを求めるのであれば、町の人々に働かせておけばいい」

 

さらに町では先月Vaivreさん支援のための請願書まで作成され、既に400人もが署名する事態に。

 

このような状況を鑑み、Vaivreさんは罰金の額が減額されるか、罰金が帳消しとなることを見込み、まだ支払いには応じていないという。

 

 

これまでにも物議を醸してきた休業日問題

 

他方でフランスにおいて、毎週の休業日を設定せずに店を開けているパン屋の存在が問題になったのは、Vaivreさんの例が初めてではない。

 

2015年にはフランス南西部でパン屋を営むStephane Moreauさんの店も、一週間店を開け続けていたとして罰金を支払わされることに。

 

これに対しMoreauさんは「我々は少ない時間働き、少ない付加価値税と給与税を支払い、必要があればスタッフを解雇する」と抗議の意を込めたコメントを発表している。

 

さらに同じ理由から罰金の支払いを命じられた他のパン屋も「ただパンを焼いていたがために、私の名前は犯罪記録に残されることになる。明日にはスタッフを解雇せねばならない」としている。

 

しかしこのような現状に対し、小売業の労働組合に従事するEric Scherrer氏は、法は順守されなければならないと前置きした上でこう唱える。

 

「飲食業に従事するパン屋とその他のプロフェッショナルは、少なくとも週に一度は店を閉めなければならないとする規則がある。なぜならばそれらは法的制限時間をはるかに超えて働くことのできる職人技の世界だからだ」

 

「これらの職に従事する人々は、毎週休みを取らなければならない。我々は休みなく働かせ続けるわけにはいかない。雇用者側にとっても労働者側にとっても休みの日は絶対に必要だ」

 

世界でもワークライフバランスを重視する国として知られるフランスにおいて、勃発している今回の論争。休みが保証されるのは嬉しいことでもあるが、働きたい時であっても休みを強要されるのはいかがなものだろうか。(了)

 

出典:The Local France:Baker in France slapped with €3,000 fine for working too hard(3/14)

出典:The Independent:French man fined for refusing to take a day off(3/15)

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