WHO、世界で14億もの人が運動不足による病気のリスクにさらされていると発表
世界保健機関(WHO)が、世界で14億もの人が運動不足ゆえに病気のリスクにさらされている可能性があると発表し、注目を集めている。
14億人が深刻な病のリスクに
同研究はWHOが実施し、オープンアクセスジャーナル「Lancet Global Health」に掲載されたもの。
研究においては職場と自宅、さらに旅行先や余暇の時間における運動量を自己申告したものを用い、190万人もの男女の情報を収集、分析したという。
これによると、2016年度には世界人口のうち14億人が運動不足であったとのこと。
またこれらの人は十分な運動を行っている人と比べて、心臓病や動脈疾患、2型糖尿病、認知症、さらには癌といった深刻な病に侵される可能性が高まっているという。
世界で4分の1以上の成人が運動不足
研究によると、世界においては32%の女性、そして23%の男性が十分な運動を行っていないという。
ちなみに運動としてみなされているものの内には、通勤の際のウォーキングやサイクリング、また職務での肉体労働なども含まれているとのことだ。
中でも運動が不足しているのは、比較的裕福な国の国民だ。
研究によると米国では40%近い成人が、さらに英国では36%もの成人が運動不足に陥っているという。
さらに運動不足の水準は2001年から改善が見られず、米国やドイツなどの富裕国、ブラジルなどのラテンアメリカ国家では悪化してしまっているとのこと。
これについてWHOのRegina Guthold氏は、「世界における他の主要な健康リスクと異なり、世界的にみて運動不足の度合いは概して減少していない」と指摘。
「4分の1以上の成人が、健康のため推奨されている程度の運動を行っていない」と警鐘を鳴らしている。
また世界で最も運動量が不足している国家としては、クウェート、サモア、サウジアラビア、イラクが挙げられるとのこと。
これらの国においては、半数以上もの成人が十分な運動を行えていないという。
一方、性別でみると女性は男性と比較して運動不足となる人が非常に多いようだ。
健康維持のため必要な運動量とは?
それではどれほどの運動を行えば、深刻な病に侵されるリスクを低減させることができるのだろうか。
WHOのガイドラインにおいては、成人は少なくとも週に2時間半の中強度の運動、もしくは75分間の激しい運動を行うべきである、とされている。
つまりこのガイドラインに従うとなると、一日30分程度の中強度の運動が毎日必要とされることとなるが、具体的には例えば一日30分のウォーキングやサイクリングを行うことで、この基準は満たせることとなる。
またランニングやスイミングといった比較的強度の高い運動を行う場合には、一週間で必要とされる運動時間は中強度の運動と比較して各段に少なくなるため、時間に追われている人はそちらを行ってみるのもよさそうだ。
さらにガイドラインにおいては、一週間のうち2日間は筋肉増強と骨を丈夫に保つため、筋力トレーニングを行うべきともされている。
一方、このガイドラインが推奨する運動量でも、運動不足が解消されない場合もある。
それが日常的に椅子に座っている時間が非常に長い人の場合だ。
座ってばかりの生活は徐々に心臓にダメージを与え、与えられたダメージを相殺するためには、このガイドラインに従った運動量では不十分であるという。
したがって、このダメージを相殺するためにはガイドラインの2倍程度の運動量、すなわち一日60分から75分程度の中強度の運動を行う必要があるとのことだ。
世界において14億もの人が運動不足により、病の危機にさらされているという驚きの研究。そのうちの一人に含まれてしまわぬよう、運動不足と思われる方は今からでも運動を始められてみてはいかがだろうか。(了)
出典:Business Insider:1.4 billion people are putting themselves at risk for disease by not exercising enough, according to a new report — here’s what you should be doing(9/6)
出典:Telegraph.co.uk:WHO study finds 1.4 billion in world at risk of disease because of too little exercise (9/5)