46億年前に太陽系付近で2つの中性子星が衝突か、地球にある重金属の起源に迫る
遥か昔に太陽系が形作られる付近で、2つの星が衝突していた可能性が明らかにされ、注目を集めている。
46億年前に2つの中性子星が衝突か
2つの星の衝突について発表したのは、フロリダ大学のImre Bartos氏と、コロンビア大学のSzabolcs Márka氏だ。
彼らは今から46億年前に、2つの中性子星が現在の太陽系付近で衝突していたことを突き止めたという。
これにより地球上で最も重いとされる金属(重元素)、すなわち金やプラチナ、ウラニウムなどの0.3%が誕生したと主張している。(割合としては金の指輪に含まれる10mg相当)
2人の研究者たちは、このイベントについて5月2日に科学誌「Nature」において発表した。Imre Bartos博士は次のように語っている。
「私たちが発見したのは、些細な価値しかない元素かもしれません。しかしこれらの元素の大部分はヨウ素(放射性同位体)の形をとっており、それは生命にとって欠くことのできないものなのです」
中性子星とは?
中性子とは原子核を構成する粒子のひとつで、中性子星(最晩年の星)が破壊されたときに大量に放出される。
また重い金属はこれまで超新星爆発によって生み出されたと考えられてきたが、最近はこれらの金属が作られるのに、多くの中性子が必要なことが分かってきたという。
さらに過去に中性子星が衝突・合体をした結果、放射線を浴びた金属の破片が大量に放出され、太陽の数倍の重さの天体が作られたことも明らかとなっている。
太陽系が形作られる所から1000光年離れた地点
今回の結論に至るため、彼らは測定された隕石の構成物質と、天の川銀河における数字に表されたシミュレーションのデータを比較。
その結果、この2つの中性子星の衝突は、地球が形作られる1億年も前に起きていたことが分かったという。
2つの中性子星が衝突すると、そのあまりの激しさに時空がゆがみ、発生した重力波は光の速さで宇宙空間をさざ波のように広がっていくと言われている。
またこの衝突は、ガス雲から1000光年しか離れていない場所で起き、そのガス雲は最終的に太陽系を形作ったと考えられているそうだ。
これにより研究者らは、今回の研究が地球の歴史におけるユニークかつ重大なイベントに洞察を与えるものだと信じているという。Márka氏は次のように語っている。
「それは私たちの太陽系の構成物質や起源に関するプロセスについて、明るい光を当てることになります。そして宇宙の謎を解くため、化学や生物学、地質学のような今まで積み重ねてきた知識の範囲内において、新しいタイプの探求を始めることになるでしょう」(了)
出典元:University of Florida:A nearby neutron-star merger explains the actinide abundance in the Early Solar System(5/1)
出典元:Columbia University:Two Neutron Stars Collided Near the Solar System Billions of Years Ago(5/2)