絶滅したと思われていたクイナ科の鳥、反復進化して別の形で生き延びていた:ポーツマス大学他
かつてインド洋に生息し、絶滅したと思われていたクイナの仲間が、「反復進化」という稀なプロセスを経て、生き延びていたことが明らかとなった。
種の最後の生き残りが進化していた
この調査を行ったのはイギリスのポーツマス大学と、自然歴史博物館の研究者たちだ。
彼らは数万年前に枝分かれしたクイナの種が、インド洋に浮かぶサンゴ礁が隆起してできた「アルダブラ環礁」と呼ばれる孤立した島への移住に成功し、その後飛べない鳥へと進化したことを突き止めたという。
そして種の最後の生き残りの住むコロニーが、今日もその島で発見されるそうだ。
「反復進化」というプロセスは、異なった時代に同じ先祖から枝分かれした種が、その後平行しながら、似たような進化を繰り返すこととされており、これがクイナで確認されたのは今回が初めてだとしている。
東へ移住した鳥が島に住み着く
「ノドジロクイナ」は名前の通り咽喉の部分が白く、ニワトリほどの大きさで、もともとはインド洋西部のマダガスカルに生息していたという。
彼らは孤立した島に住み続けていたが、しばしば人口爆発を起こした時に、マダガスカルから大量に移住をしていったそうだ。
そして北や南へ向かった鳥の多くは途中、力尽きて海で溺れ、西へ向かったクイナもアフリカ大陸へ到達するが、捕食者の餌食にされたと考えられている。
しかし東へ向かった鳥たちのいくつかは、約40万年前に形成された環状のサンゴ島の中にある、「モーリシャス島」や「レユニオン島」、「アルダブラ環礁」といった島へたどり着けたという。
そこには捕食者もいないため、クイナは進化し、やがて飛ぶ機能を失ったと考えられている。
2つの時代の化石を比較
しかしながら「アルダブラ環礁」では、13万6000年前に大規模な浸水が起き、島が沈下。全体が海へ沈み、飛べないクイナも含むあらゆる動植物が一掃されることに。
研究者はその後、10万年前の地層から出てきた化石を分析。すると氷河期の間に海水面が下降し、環礁は再び飛べないクイナの生息地になったことを突き止めた。
また研究者らは海水に覆われる前の時代と、海水面が下がった時代の2つのクイナの骨を比較。
すると後者の翼の骨は飛べない状態がさらに進み、足首も明らかに飛行できないよう進化している特徴が示されたという。
つまりこのことは、マダガスカルにいた種から数千年の空白期間を経て、飛べない2つの種が「アルダブラ環礁」で生じたことを表しているそうだ。
主任研究者である自然歴史博物館のJulian Hume博士は、次のように語っている。
「これらの特徴的な化石は、クイナ科の1つの集団、そのほとんどがマダガスカルからのものと思われるが、それが環礁に定住したという反論できない証拠を与えています。そしてその都度、独自に飛べないようになっていきました。ここで示された化石の証拠は、クイナにとって特徴的で、孤立した島にうまく定住し、複数回に渡って飛べないよう進化したこれらの鳥の能力を具現化するものなのです」(了)
出典元:UoP News:The bird that came back from the dead(5/9)