女性が死の危機に…その理由は猫による引っ掻き傷だった!
猫好きの人であれば、猫に引っ掻かれて傷が出来たなんてことの一度や二度くらいはあるのではないだろうか。
しかしそんな猫による引っ掻き傷が、時として人の健康に重大な危機をもたらすことがあることをご存知だろうか。
猫に引っ掻かれたことが原因で死の危機に直面した女性が自らの体験を明かし、注目を集めている。
猫に引っ掻かれた後、指と手に現れた異変
猫に引っ掻かれたことがきっかけで死の危機に瀕することとなったのは、スコットランド南西部に位置する都市グラスゴー在住の女性Moira Bradyさん(45)。
Bradyさんが猫に引っ掻かれたのは、自宅の庭でのこと。
庭のトランポリンで喧嘩をしている野良猫らを引き離し追い払おうとしたところ、そのうちの1匹から腕を引っ掻かれてしまったという。
傷は皮膚の深くまで達するものであったものの、当初Bradyさんはそれについて真剣に考えてはいなかったそうだ。
ところがそれから数日後、Bradyさんは異変に気付く。
指のうちの1本が青く変色すると共に、手が腫れ上がってしまったのだ。
そのためBradyさんは猫に引っ掻かれてから約1週間後、止む無く病院に足を運ぶこととなった。
謎の症状の正体は…
しかしそこで彼女が受けた診断は、思いがけず深刻なものであった。
Bradyさんは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とA群溶血性レンサ球菌に感染していることが判明したのだ。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌とは、多くの抗生物質に耐性を示す多剤耐性菌として知られ、従来の薬剤では死滅しない強力な細菌を指す“スーパー耐性菌”と呼ばれるものの一つに数えられる。
この仲間である黄色ブドウ球菌は人の身体に付着した状態であっても、菌を保有する人が健康である時には何ら症状をもたらさない一方、抵抗力の弱った人が保有すると死に至る深刻な病状を発症させることがある。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌はこの黄色ブドウ球菌と性質を同じくするものの、抗生物質が効きにくいため治療が思うように進まない厄介なものだ。
対してA群溶血性レンサ球菌は咽頭炎等の風邪に似た症状をもたらすことの多い細菌でありながら、“劇症型溶血性レンサ球菌感染症”と呼ばれる重篤な症状を引き起こすことがある。
これを発症すると、数日以内という短期間で急激に症状が進行。血管や神経が壊死すると共に、多くの臓器に障害が生じ死に至ることがあるため、A群溶血性レンサ球菌は“人食いバクテリア”との名で呼ばれることもある。
指を切断、今後も待ち受ける手術
これら危険な感染症の症状を抑え込むため、Bradyさんは左手の1本の指を切断。
1カ月にも及んだ入院での治療中、2度の皮膚移植と輸血をも行ったという。
この恐ろしい経験について「それは私の人生を台無しにしました」と語るBradyさん。
「医師らは私が死に至る、あるいは手全体を失う可能性もあったと言っていました」
さらには感染症の後遺症は日常生活にも影響を及ぼしており、「今となってはオーブンから食べ物を取り出すといった、日常的な動作が出来ないんです」と訴えている。
他方で治療は終わったわけではなく、Bradyさんは今後もさらなる手術を受ける必要があるという。(下の写真はショッキングなため、閲覧にはご注意いただきたい)
WTF?! Wow! https://t.co/ea18E8kG4C
— Deplorable Habekott (@CrazyRedneck77) July 22, 2019
動物に触れた後は消毒を
一方、Bradyさんのように猫に引っ掻かれたことでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌とA群溶血性レンサ球菌の感染症を発するというケースは非常に珍しい。
家の中で飼育する猫に引っ掻かれたとしても、そのような場合通常は自ら応急手当てを施すだけでも問題ない。
しかし引っ掻き傷が深いものであった際には、やはり注意が必要だ。
そのような場合には傷から感染症にかかる恐れがあるため、医療機関で治療を受けた方が良いという。
犬や猫がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を保有することは珍しいものの、これを保有する個体においては鼻と肛門に菌が存在することが多い。
そのためいずれにせよ動物やその糞に触れた場合には、手を洗い消毒を行うことが推奨されるとのことだ。
猫に引っ掻かれたことが原因で、指を失うことになってしまったBradyさん。
彼女のケースは非常にレアなものであるとはいえど、野良猫や野生動物と触れ合うことは危険を伴うことがあることを忘れてはならない。(了)
出典:Fox News:Woman loses finger, ‘could’ve died’ after cat scratch triggers major infection(7/23)
出典:The Epoch Times:Mom Lost a Finger and Almost Died After Cat Scratch Infected Her With Flesh-Eating Bug(7/24)
出典:徳洲会グループ:人食いバクテリアの恐怖 国内の感染者数が過去最多(2017/7/31)
出典:サラヤ福祉ナビ:感染症の種類と特徴 MRSA