広げた翼の長さは10m、カナダで発見された翼竜が新種だと判明
以前、カナダで発見された翼竜の化石が新しい種であることが、最近の研究で明らかにされた。
カナダで発見された最初の翼竜
その翼竜の化石は、今から30年前にカナダのアルバータ州で発見されたもの。
当時、古生物学者はこの化石が、以前アメリカのテキサス州で発見され、すでに知られていた翼竜・アズダルコ科の「ケツァルコアトルス」だと考えていたという。
しかし最近の研究の結果、これが同じくアズダルコ科に属する新種であることが判明。「クリオドラコン・ボレアス(Cryodrakon boreas)」と名付け、カナダで最初に発見された翼竜として10日、科学誌「 古脊椎動物ジャーナル(Journal of Vertebrate Paleontology)」において発表された。
論文の主筆を務めたQueen Mary University of London のDavid Hone博士は「これはクールな発見です。私たちはこの動物がここに住んでいたと知っていました。しかし今、私たちは、これが他のアズダルコ科の翼竜とは異なっていることを示せました。そのため名前を与えたのです」と語っている。
7700年前、白亜紀に生息
この「クリオドラコン・ボレアス」は約7700万年前、白亜紀の時代に生息していたとみられている。
また研究で使われた骨の化石は、翼の一部と足、首、肋骨から成り立っているが、今回の研究と追加で明らかにされた数年間に渡るデータなどにより、またアズダルコ科の多様性への理解が深まっていたことから、今回異なった新種であることが示せたそうだ。
メインとなった骨格の化石は、翼開長が約5mのまだ若いものだったが、他の標本からの1つの大きな首の骨は、この動物が大人になった場合、翼を広げた長さが10mにも達していた可能性を示唆していたという。
テキサス州で発見された「ケツァルコアトルス」も最大級の翼竜とされ、広げた翼の長さは10.5m。体重は250kgもあり、「クリオドラコン・ボレアス」もそれらに匹敵すると考えられている。
他のアズダルコ科の翼竜と同じように、「クリオドラコン・ボレアス」も肉食で、トカゲや哺乳類、恐竜の赤ん坊を捕食していたようだ。
飛行能力があったが内陸に適応
ただ他の翼竜とは異なり、アズダルコ科に属する翼竜のグループは、大海原を渡る距離を飛行できる能力を持っていたと考えられているが、内陸の環境に住み、適応したと広く考えられているという。
また大きな体を持ち、これまでにもヨーロッパやアジア、アフリカ、南北アメリカに分布していたと考えられているにも関わらず、アズダルコ科の化石は断片以上の大きさのものがほとんど見つかっていない。
しかし「クリオドラコン・ボレアス」の骨の化石は非常に保存状態も良く、異なったサイズで複数の個体の化石が発見されていることから、重要な恐竜とみなされている。(了)
出典元:Queen Mary University of London:New reptile species was one of largest ever flying animals(9/10)