パリ郊外でロックダウンに反対する住民の暴動発生、背景にはマイノリティへの差別か
厳しいロックダウン下に置かれるパリ郊外で、住民らによる暴動が発生したことが明らかになった。
火花で赤く染まる空、あたりを覆う煙…
暴動は20日未明、フランス・パリから北におよそ10キロメートルの地点に位置するコミューン、ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌ (Villeneuve-la-Garenne)の郊外において発生。それに隣接する都市オルネー=スー=ボワ (Aulnay-sous-Bois)にも広がったという。
目撃者と警察によると、住民らはごみや車を燃やすと共に警察に向けて火花を打ったとされ、それに警察が応戦。ゴム弾や催涙ガス、警棒を用いて鎮圧したという。
SNSに投稿された映像には火花が空を赤く染め上げる様や、ごみ箱が炎を上げて燃える様子、さらにはあたりを覆う煙なども映されている。
この暴動によって4人が逮捕されたという。
Des unités de police répondent aux feux d’artifices par des tirs de grenades lacrymogènes.#VilleneuveLaGarenne pic.twitter.com/A7CP6hRCjS
— Taha Bouhafs (@T_Bouhafs) April 19, 2020
引き金となったのは警察による行き過ぎた取り締まり
この引き金となったのは、18日未明に発生したオートバイ運転者の事故だ。
運転していた30歳の男性はヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌを走行中、開いていた覆面パトカーのドアに衝突。足を骨折する重傷を負い、病院で手術を受けた。
しかしこの事故に際し、住民らはパトカーのドアが故意に開けられていたと主張。
さらに男性の友人らも、事件はロックダウン期間中における警察のマイノリティに対する高圧的姿勢を示す一例であるとして批判を行っている。
というのも男性は、アラブ系イスラム教徒のバックグラウンドを持つためだ。
事件に関しては検察が捜査を開始させており、男性は警察を告訴する意向であるという。
ロックダウンにより分断深まるフランス
フランスでは先週にも南西部に位置するベジエ(Béziers)において、夜間に外出し、ロックダウンに違反したとして逮捕された男性が死亡する痛ましい事件が発生している。
この事件においては逮捕された3児の父親であるMohamed Gabsiさん(33)が、3人の警察官により地面を引きずり回されているところが映像に残されていた。
それだけではなく、目撃者によるとパトカーの車内で2人の警察官がGabsiさんの上にまたがっていたといい、Gabsiさんは警察署に到着するまでの間に心臓発作により亡くなったと伝えられている。
警察官には“公務員による故意の殺人につながる意図的な暴力”と“危険が及んでいる人物に対し支援しない”罪を行った容疑がかけられているという。
一方、この事件は被害者の男性がフランス国内ではマイノリティの存在であるイスラム教徒であり、事件発生の現場となったベジエ市長が極右思想であることも相まって、注目を集めることとなった。
これについてはフランス人権連盟もコメントを発表。事件はロックダウンによって“貧しい人々がいかにして殺されるのか示すスキャンダル”であるとして、強く非難した。
イスラム系男性の事件を引き金として勃発した今回の暴動。たとえ新型コロナウイルスの感染拡大が抑制されたとしても、フランス国内における分断が解消される日はまだ遠そうだ。(了)
出典:The Local France:Police clash with residents in Paris suburbs amid Lockdown(4/20)
出典:Daily Mail:Anti-lockdown riots break out in Paris amid anger at police ‘heavy-handed’ treatment of minorities after Macron extends social distancing to fight COVID-19 until May 11(4/20)