ハッブル宇宙望遠鏡が、前例のないほど巨大な彗星の実態を解明
米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡が、巨大な彗星の実態を突き止めた。
通常の50倍の核を持つ
その彗星とは、バーナーディネリ・バーンスティン彗星(Bernardinelli-Bernstein)だ。 これは2010年に初めて発見された彗星で、通常の50倍の核を持つと考えられており、時速2万2000マイル(約3万5000km)で地球に向かって突進しているという。
しかしその彗星の大きさなどは、これまで明らかになっていなかったそうだ。
ところが先日、ハッブル宇宙望遠鏡はこの彗星の姿を捉え、彗星の氷の核が約500兆トンもあり、幅も137kmあることが明らかになった。(ハレー彗星の核は約15km)
Hubble determined the size of the largest icy comet nucleus ever seen!
It’s larger than Rhode Island and heading this way at 22,000 miles per hour, but don’t worry – it won’t get closer than a billion miles from the Sun, slightly farther out than Saturn: https://t.co/l7Szt3adAx pic.twitter.com/1K6sqAJsU8
— Hubble (@NASAHubble) April 12, 2022
2031年まで接近することはない
バーナーディネリ・バーンスタイン彗星は、これまで天文学者が見てきたどの彗星よりも大きいという。
また地球や太陽に向かってはいるが、2031年まで近づくことはない。また太陽に最接近しても10億マイル(16億km)ほどの距離があるそうだ。
NASAの声明によると、この彗星は天文学者ペドロ・バーナーディネリ氏と、ゲイリー・バーンスタインによって、チリのセロ・トロ汎米天文台での、ダークエネルギー調査からの記録画像で発見されたという。
NASAは、この彗星が、惑星誕生の初期に残された氷の「レゴブロック」であると説明し、次のように述べている。
「この彗星は、巨大な外惑星間の重力ピンボールゲームで、無情にも太陽系から放り出されたのです。追い出された彗星は、太陽系を取り囲む彗星の広大な貯蔵庫である『オールトの雲』に住み着いたのです」
「驚くべき天体」
マカオ科学技術大学のMan-To Hui氏は、この彗星を「驚くべき天体」と表現し、「この彗星はかなり大きいのではないかと推測していました。しかしこれを確認するためには、最良のデータが必要でした」と語っている。
バーナーディネリ・バーンスタイン彗星は、300万年(周期)にわたる楕円軌道を描いており、太陽からおよそ半光年まで離れている。
現在、彗星は太陽から20億マイル(約36億km)弱の距離にあり、太陽系の平面に対してほぼ垂直に落下しているそうだ。(了)
出典元:BBC:Nasa scientists spy ‘largest comet ever seen’(4/14)