新種? プランクトン? 手のひらでうごめく透明な生物の正体とは
手のひらサイズの透明なエビのようなものがうごめく動画を見たことがあるだろうか? 定期的にTwitterで話題になるこの生物。その正体をまとめる。
フクロウミノミという生物
Twitterで話題になる元の動画は、5年ほど前にAlejandro Damian-Serrano博士が投稿したもの。
Giant hyperiid #amphipod Cystisoma is high up my favorite animals list! #KOK2017 pic.twitter.com/94KTG3Bo2u
— Alejandro Damian-Serrano Ph.D. (he/him/él/ell) (@planktomancer) March 24, 2017
この生物は、フクロウミノミ(Cystisoma)という深海の甲殻類だ。甲殻類とはいえ、エビやカニのような十脚類ではなく、ヨコエビやワレカラなどと同じ端脚類だ。ウミノミ亜目フロウミノミ科の生物で、この科に属するのは今のところこの1種のみ。
その最大の特徴は、ご覧の通りに内臓も含めてすべて透明であること。最大で7インチ(約17.78センチ)ほどになり、透明の身体は捕食者から身を隠すのに役立っている。
完全に全てが透明というわけではなく、中央に見えるオレンジ色の塊は卵塊。下の画像だとわかりやすいが、頭に当たる部分にある対になっているオレンジ色の物体が巨大な目だ。
大きいけどプランクトン?
投稿者であるAlejandro Damian-Serrano博士は、プランクトンの研究家だ。しかしこのフクロウミノミを見て、これがプランクトンだとは、多くの人には信じられないだろう。
プランクトンとは、単細胞生物など微小な生物だけを指す言葉ではなく、自力で大きく移動する能力が低い生物のことだ。大きさは関係なく、ミジンコからエチゼンクラゲまで含まれている。
水中を泳ぐ能力が高い生物はネクトンと呼ばれているが、プランクトンとネクトンの区別を厳密にすることは難しく、オキアミなどの甲殻類の一部はプランクトンとしても、マイクロネクトンとして扱われることもある。(了)
参考:Smithsonian「Cystisoma」
参考:日本分類学会連合
参考:Umidas「プランクトン」
参考:YouTube「Nature Picture Library」