NASAが50年ぶりに進める核熱ロケットエンジン開発、2027年に試験を計画
火星に人類を運ぶ、核熱ロケットエンジンのテストが将来行われると発表された。
核分裂を利用し、推進力を生み出す
NASA(アメリカ航空宇宙局)と、アメリカ国防総省の研究部門である国防高等研究計画局(DARPA)は、現在火星に人類を送るための「核熱ロケットエンジン」の開発に取り組んでいるという。
この核熱エンジンは原子炉に依存し、核分裂と呼ばれるプロセスを利用して推進剤を加熱、ロケットに必要な推進力を提供するもの。
このため核熱エンジンは、現在のロケットの3倍の推進力をもたらすとも言われている、
NASAが1月24日に発表したリリースには、核熱エンジンの最初テストが、早ければ2027年に行われる可能性があると述べられている。
1973年に計画が中止に
実はNASAによる核熱ロケットエンジンの研究は、1959年に始められていたという。
そして1960年代には、この技術を宇宙で実証しようとさえしていたが、実現には至らなかったそうだ。
この計画は「Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application(NERVA)」と呼ばれていたが、1960年代後半には資金は減少し、エンジンの飛行試験が行われる前の1973年には計画が中止となってしまう。
そして約50年たった今、核熱エンジンの構想は「DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)計画」として、火星に人類を送るために進められているそうだ。
NASAの宇宙技術ミッション本部・副長官であるジム・ロイター氏は、声明で次のように述べている。
「最近の航空宇宙素材と工学の進歩は、宇宙核技術の新しい時代を可能にし、この飛行実証試験は、地球や月の経済のための宇宙輸送能力の確立に向けた、大きな成果となるでしょう」(了)
出典元:KITV:NASA to test nuclear thermal rocket engine for the first time in 50 years(1/25)