世界初のAI弁護士が法律事務所から訴えられる、理由は弁護士資格を持っていないため
歴史上初めて法廷に登場し、被告にアドバイスを与えるはずだったAIチャットボットが、学位や資格を持っていないことで訴えられている。
法廷でスマートフォンからアドバイス
そのAIチャットボットの名前は「DoNotPay」。2015年に、当時スタンフォード大学生だったJoshua Browderという人が開発した。
当初は、駐車違反の罰金に不服を申し立てたいドライバーに、法律的なアドバイスを与えるのが目的のAIだったが、そこから進化して、今では権利を巡る様々な紛争場面でアドバイスを提供するようになっている。
この「DoNotPay」は、今年1月に、法廷で被告にアドバイスを与えることになっていた。スマートフォンのイヤホンを通して、どのタイミングでどんな主張をするべきかを被告に指示するはずだったのだが、州法曹協会から脅しのようなものがあり、実現しなかった。
開発者のBrowder氏によれば、法曹協会から「ロボット(AI)の弁護士を法廷に持ち込むようなことがあれば、6ヶ月間の刑務所送りにしてやる」と言われたとのこと。
そして最近になって、「DoNotPay」を運営するBrowder氏の会社が、シカゴに本拠地を置く法律事務所「Edelson」に訴えられた。
AIは弁護士ではない
訴えを起こした「Edelson」は、次のように主張している。
「DoNotPayは弁護士でもなく、弁護士の監督下に置かれているわけでもない。それにもかかわらず一般人に法的アドバイスを与えるのは無謀かつ危険なことである。アドバイスを受けた顧客は、その結果として損害を受けることになる」
訴えられたBrowder氏はこうコメントする。「裁判で本当の意味で勝って(儲けて)いるのは、いつも弁護士だけだ。これを何とかしたくて、私はAI弁護士DoNotPayを作った。このAIで、企業相手に(法的に)戦おうとする一般消費者を助けようとした。だから私がターゲットにされ、法律事務所のEdelsonが私を止める戦いを始めたのだ」
「Edelson」はシリコンバレーで最も恐れられる法律事務所と言われ、過去に担当した訴訟でグーグル、アマゾン、アップルに勝訴している。Browder氏はそれでも恐れずに「反撃する」と言っている。(了)
出典元:MailOnline:World’s first robot LAWYER is being sued by a law firm – because it ‘does not have a law degree’(3/14)
出典元:New Scientist:AI legal assistant will help defendant fight a speeding case in court(1/4)