A・ボールドウィンの誤射事件、ずさんな管理体制だったとの指摘も
先日、アメリカで俳優のアレック・ボールドウィンさん(63)が映画の撮影中、銃を発砲し、1人が死亡、1人が負傷した。
この事件では現在も捜査が進められており、撮影現場の実態などもメディアが伝えている。
撮影監督の女性が死亡
10月21日、俳優のアレック・ボールドウィンさんが、映画『Rust』の撮影で、ニューメキシコ州の街、サンタ・フェの近くにあるセットに入ったという。
そしてスタッフから銃を渡され、撮影時に、実弾が入っていることを知らずに発砲。弾が撮影監督のHalyna Hutchins氏に命中し、死亡。監督のJoel Souza氏も、ケガを負ってしまう。
このニュースは大々的に伝えられ、すでに捜査も始まっており、次第に状況が明らかになってきた。
実弾は入っていなかったと主張
米メディア「Los Angeles Times」によれば、撮影前にボールドウィンさんは、アシスタント・ディレクター(助監督)から銃を渡されたという。その際、助監督は使用しても安全であることを、ボールドウィンさんに示したと言われている。
やがてボールドウィンさんは、ホルスターから銃を取り出すシーンの撮影準備をし、2回目にホルスターから銃を抜いた時に、発砲したと言われている。
しかしサンタ・フェ郡の裁判所に提出された捜査令状によると、助監督は銃を渡した当時、実弾が装てんされていることは知らなかったと主張しているという。
また兵器係として銃を管理していた担当者、Hannah Gutierrez Reedさん(24)は、銃は直前まで安全な場所に保管していたが、弾薬に関しては安全な場所に保管はしていなかったと供述しているとか。
安全基準が守られていなかった可能性
実は、この事件が起きる数時間前、6人のカメラクルーが労働条件に抗議して撮影現場から立ち去っていた。
関係者によれば、彼らは低予算の映画を取り巻く環境に不満を抱いており、長時間の労働、長時間の通勤、給料の支払いが遅れていることなどに不満を持っていたという。
また関係者は、撮影現場では、銃の検査をはじめとする業界標準の安全基準が守られていなかったと述べている。
実際に、土曜日(16日か)には、代役が「銃はコールド(空砲を含む弾薬が入っていない武器のこと)だ」と言われた後、誤って2発を発射する事故が起きていたそうだ。
しかしその後も、調査が行われず、安全会議もなかったという。二度と起こらないという保証もない状態にも関わらず、制作側はとにかく急ぐことを求めたとか。
この事故に関し、少なくとも1人のカメラオペレーターが先週末(10月16日)、撮影現場での銃の安全性についてプロダクションマネージャーに苦情を言っていたそうだ。しかし今回、犠牲者が出てしまった。
ボールドウィンさんはこの映画に出演していると同時に、プロデューサーの1人を務めている。現在、彼はまだ起訴はされていないが、刑事訴追の可能性が排除されていないとも言われている。(了)
出典元:LA Times:‘Rust’ crew describes on-set gun safety issues and misfires days before fatal shooting(10/22)