米マクドナルド、使用する牛肉の抗生物質を削減させる計画を明らかに
米国のマクドナルドが、使用する牛肉の抗生物質を削減させる計画を明らかにし、注目を集めている。
既に抗生物質使用実態の調査進める
米マクドナルドが抗生物質を削減させる計画を明らかとしたのは、今月11日のこと。
同社は牛肉の供給元となっている米国をはじめとする世界各国の10もの市場において、抗生物質使用の実態を把握するため、既に食肉業者の協力の下、動きを進めているという。
さらに同社はこの調査に基づき2020年までに抗生物質の削減目標を設定し、2022年には目標に対する達成度の報告を行っていくとしている。
また米国以外で調査の対象となっている国にはオーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、アイルランド、ニュージーランド、ポーランド、英国の9カ国が挙げられており、米国を合わせたこれら10カ国がマクドナルドにおいて使用される牛肉の85%をも占めるという。
薬剤耐性菌問題を深刻に受け止める
牛肉として供給される牛に対して使用される抗生物質は牛の健康を保つために用いられ、通常餌か飲み水を通して与えられる。
しかし抗生物質が牛に与えられると、牛の体内で抗生物質に対して耐性を持つ薬剤耐性菌が発生。
それが牛肉を食することで人間の体内に入り、人間における病気の治療の際にも抗生物質が利きにくくなるとして、問題視されている。
一方、マクドナルドは全世界120カ国、3万7000もの都市において店舗を展開する、世界で最も巨大なバーガーチェーンとして知られる。
この問題についてマクドナルドのKeith Kenny氏は、声明において薬剤耐性菌が重大な公衆衛生問題であることを指摘。
その上で世界最大のバーガーチェーンとしての独自の立ち位置から、この問題に取り組んでいくとしている。
牛肉における抗生物質の使用状況では他社に後れ
一方、マクドナルドが同社の商品において使用される肉の抗生物質を削減させる試みを行うのは、今回が初めてではない。
米国のマクドナルドは2016年、同社の商品で使用される鶏肉において、抗生物質を投与したものの使用を抑制。
この動きは今や全世界のマクドナルドにおいて行われている。
他方でマクドナルドは今年10月に行われた、抗生物質を用いた牛肉の使用に対する25ものバーガーチェーンの企業ポリシーを評価する調査においては“Fランク”の烙印を押されている。
この調査においてマクドナルドよりも高評価となる“Dランク”を獲得したファーストフードチェーン、ウェンディーズは商品において使用する牛肉の15%において抗生物質を排除したものを用いており、マクドナルドは牛肉における抗生物質の使用に関しては同社他複数のバーガーチェーンに後れをとっていた。
また鶏よりも寿命の長い牛は飼育過程において病気にかかるリスクをより多く孕んでおり、鶏における抗生物質の投与をなくすことは容易であっても、牛の場合に同様の試みを行うことはそう簡単ではないという。
牛肉における抗生物質の使用を削減させる目標を掲げたマクドナルド。
今後どのような取り組みを見せていくのか注目すると共に、世界最大のバーガーチェーンにおいてこのような動きがみられることで、他のバーガーチェーンやファーストフード店において同様の試みが広がっていくことに期待したい。(了)
出典:USA TODAY:McDonald’s outlines plan to cut antibiotics from its beef supply (12/11)
出典:The Guardian:McDonald’s to curb use of antibiotics in its beef supply(12/11)
出典:フロントロウ:マクドナルドほか22のバーガーチェーンが最低の「F判定」、A判定は2店舗のみ(10/20)
出典:産経ニュース:日本も抗菌薬規制を強化 耐性菌対策、畜産分野でも(4/5)