研究者はこの行動を「文化的学習」「遊び」「探索」「コミュニケーションの試み」と捉えている。シャチは群れの中で食べ物を分け合うことで絆を深めることが知られており、ヒトへの提供も社会的な関係構築の一環という可能性がある。これも、ヒトとシャチは陸上と水中それぞれの頂点捕食者であり、競争関係にはないことがポイントだ。
また、オーストラリアやロシアなどで数十年〜数世代にわたって、野生のシャチがヒトと協力して狩りを行った事例も報告されている。
ここまで見ると、シャチがヒトに獲物を分ける理由に悪意がないように思えるが、シャチは獲物を使って他の動物をおびき寄せ、「食べないのに攻撃する」という行動をとることもある。そのため、むやみにシャチの提供行動に応じたり、関わろうとすることに対して、研究者は警鐘を鳴らしている。
この研究はカナダ、ニュージーランド、メキシコの科学者によって行われ、『Journal of Comparative Psychology』に掲載された。
参考:APA PsycNet「Testing the Waters: Attempts by Wild Killer Whales (Orcinus orca) to Provision People (Homo sapiens)」(6/30)