オランダ企業、世界初の商業販売用“空飛ぶ車”をモーターショーで公開
3月8日からスイスのジュネーブで一般向けに公開されている新型車の展示会、「ジュネーブ・モーター・ショー」の場で、オランダ企業による世界初の商業販売用“陸空両用車”が公開され、話題を呼んでいる。
来年には入手可能になるという“空飛ぶ車”
ジュネーブ・モーター・ショーで陸空両用車を公開したのはオランダ企業の「PAL-V」。
同社が公開した陸空両用車は2人乗りで、陸路を走行する際には3つの車輪を利用する。
一方飛行の際は2つのエンジンにより、後部に取り付けられたプロペラを回し、前進することができるという。
さらにPAL-Vによると、後部のプロペラのみならず車両の上にも回転翼を設置することで、飛行の際の安定性を強化させているとのことだ。
また陸用の際には最高時速170キロ、飛行の際には最高時速180キロで進むことができ、一回のレギュラーガソリンの給油により約500キロメートル飛行することが可能という。
ちなみに同車は垂直飛行は行うことができず、離着陸の際には単距離の滑走が必要になるそうだ。
PAL-Vの共同創設者でありCEOを務めるRobert Dingemanse氏は「空飛ぶ車は多くの映画に登場してきたが、来年にはそれが手に入るようになる」としている。
“空飛ぶ車”はニッチな市場でしか売れないのではとの見方も
一方、近年は世界各国の企業が“空飛ぶ車”の開発を進めており、PAL-Vの他にも米国企業Terrafugiaによる「The Transition」、ドイツのベンチャー企業Liliumによるものが既に公開されている。
しかしこのような“空飛ぶ車”は、ニッチなマーケットでしか販売できないとする見方もある。
オランダのアイントホーフェン工科大学の「Smart Mobility program」で指揮を執るCarlo van de Weijer氏は、「これは自動車業界において、(従来型の車の)代替となるものではない」と冷ややかだ。
「(飛行のための)ガジェットは車に設置するのには向いているが、(市場がニッチであるため)少し売れただけでも成功企業になるといえる」
さらに同車の気になるお値段は50万ユーロほど、日本円にして6500万円以上となる予定とのこと。
当然ながら一般庶民には手が届かない値段であるが、Dingemanse氏いわく、既に多くの購入希望者が現れているという。
また飛行モードでの利用の際には、パイロットとしての訓練を受けた証明が必要になるが、そのためのトレーニングコースもPAL-Vが用意するとのことだ。
大手自動車メーカーをも含む多くの企業が“空飛ぶ車”の開発に乗り出している昨今。そんな中で他社に先んじて商業用として発売されることとなった同車が、街中を飛行している姿を見られる日がいつ訪れるのか、気になるところだ。(了)
出典:The Mercury News:Dutch company launches flying car at Geneva show(3/7)
出典:Forbes:Flying Cars Are Here, And The Race To Deliver The First Ones Just Heated Up(3/8)