カリブ海で海賊による略奪行為が急増、東アフリカより多くの事件が発生
現代の海賊といえば東アフリカ沖での活動が注目されているが、近年カリブ海でも海賊による事件が増えていることが明らかにされた。
2017年には海賊による事件が71件
5月23日に発表された非営利団体「Oceans Beyond Piracy(OBP)」の報告によれば、2017年には海賊による71回の攻撃が、ラテンアメリカやカリブ海の海域で記録されたという。
この件数は前年に比べて163%も増加しており、発生した事件の59%は豪華なヨットから略奪する強盗事件だったそうだ。
この報告書の主筆を務めたMaisie Pigeon氏は、次のように述べている。
「2017年における海賊行為は明らかに、海賊のグループがこの地域を航行する船に対して攻撃する能力や、集団を組織する能力を保有していることを証明しています」
ベネズエラやコロンビアの沖合にも出没
また海賊は、南アメリカ北東部に位置するスリナム共和国の沖合で多くの事件を起こしており、4月には隣国のガイアナ共和国からの漁師、少なくとも数十人が行方不明のままで、海賊によって殺された可能性も囁かれているという。
ガイアナ共和国のDavid Granger大統領は、この事件を「大量虐殺」と呼び、海賊らの行為を厳しく非難しているそうだ。
さらに海賊らはベネズエラやセントビンセント島、グレナディーン諸島、コロンビア、セントルシアの沖合にも出没。OBPの見積りによれば、ラテンアメリカやカリブ海では100万ドル(約1億円)相当の物品が、海賊によって奪われたという。
東アフリカでの事件の方が少ない
一方、東アフリカ沖では2017年には合計で54件の事件が発生。そのうちの4件は、海賊により船がハイジャックされている。
しかしこの海域における海賊対策費は年々下がっており、ソマリアの海賊の活動がピークに達した2010年には70億ドル(約7700億円)、2016年には17億ドル(約1860億円)、2017年には14億ドル(約1530億円)と推移しているという。
また西アフリカでは2016年に95件、2017年には97件とわずかに増加。2017年には前年より3件も多く、身代金を要求した誘拐事件が起きているそうだ。
それらの事件では合計で100人の船員が人質とされ、2人が殺害されている。(了)
出典元:NYPost:Pirate attacks are on the rise throughout the Caribbean (5/23)
出典元:The Telegraph:Piracy returns to Caribbean as Venezuela turmoil spurs rise in attacks on yachts(5/23)