トルコ軍がシリア領内のクルド人部隊を空爆、国境付近には戦車も出現
先日、トルコ軍がシリア領内にいるクルド人部隊に向け、空爆を行ったことが明らかとなった。
トルコ軍の戦闘機がクルド人部隊を空爆
トルコの国営放送によれば、1月20日にトルコ軍の戦闘機がシリアのアフリンという街にいるクルド人部隊を攻撃したという。
またトルコのアナドル通信社は、その時の爆発音は戦闘機がアフリンの上空を通過した後、国境のトルコ側からも聞こえたとしている。
さらにこの攻撃が行われた後、反体制派でトルコ寄りの「自由シリア軍」が武装した車両でアフリンの街に入ったとも伝えている。
「YPG」の支配地域で死傷者
CNNによれば、トルコ軍の戦車や大砲、ロケットランチャーを積んだものなど、50台以上の車両が、トルコ・シリア国境付近で確認されたという。
トルコ軍は今回の攻撃について声明で、113のターゲットのうち約5つに命中し、死者や負傷者はクルド人部隊から出ているが、無実のシリア人市民を狙ったものではない、と語ったそうだ。(現時点ではもっと被害が出ているという情報も)
アフリンという街はグルド人民防衛部隊「YPG」のコントロール下にあるが、トルコ軍はこの「YPG」をクルド労働党(PKK)のシリア部隊であり、テログループとみなしてきたとか。
アメリカやヨーロッパもトルコ国内で活動が禁止されている「PKK」をテログループとみなしているが、「YPG」に対してはISISとの戦闘においてこれまで支援を続けており、「YPG」自身もテロ組織とのつながりはないと表明してきたという。
「YPG」の広報担当者ヌリ・マハムディ氏は今回の戦闘について、トルコ軍がシリア国境を越えて入り込んできたと発表。しかし「彼らは撤退を余儀なくされた」と語っている。
トルコ大統領が次の攻撃目標を示唆
トルコ軍は今回の攻撃を「オリーブの枝作戦」と呼んでおり、エルドアン大統領は1月20日、次の攻撃がトルコとの国境におけるシリアのManbijという街に対して行われる可能性があると言及。
さらにアメリカがこの国境付近で「テロの軍隊」を作り上げているとして非難し、それらの部隊を「溺れさせる」と警告を与えたという。
というのも、このManbijという街ではシリア民主軍、3万人の国境警備のメンバーがアメリカ軍による訓練を受けているからで、また「YPG」が同地域を管理しているとも言われている。
これらの攻撃が新たな悲劇を生むのか、今後の展開を注視していきたい。(了)
出典元:UPI:Turkish jets destroy Kurdish targets in Syria’s Afrin(1/20)
出典元:CNN:Turkish jets hammer Syrian town to oust US-backed Kurdish militia(1/20)