戦争犯罪で有罪を宣告された元司令官が法廷内で服毒自殺、その映像がショッキング【動画】
ボスニアの元司令官で戦争犯罪を犯したとして刑を言い渡された被告が、法定で服毒自殺を図るというショッキングな場面が捉えられた。
「私は戦争犯罪人ではない」
その出来事があったのは11月29日、場所はオランダのハーグで開かれている「旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)」とされている。
その法廷に立ったSlobodan Praljak被告(72)は、1992年に勃発したボスニア・ヘルツェゴビナの内戦において、ボスニアにおけるクロアチア人部隊の司令官だったという。
法廷において裁判長はPraljak被告に禁固20年の刑を宣告。しかしその後、被告は「私は戦争犯罪人ではない」と大きな声で伝え、容器の中に入っていた液体を飲み干した。
容態が急変し法廷内が慌ただしくなる
動画ではその後も、裁判長の話が続き、特に大きな変化は見られない。また画面にもPraljak被告の様子は写っていない。
しかしやがて、Praljak被告の容態が急変したらしく、少し慌ただしくなる。そして被告の弁護人が「毒を飲んだ」と告げ、その言葉を通訳が全員に伝えると、裁判長は審理を中断。カーテンを閉めるよう指示した。
その数時間後、クロアチアのAndrej Plenkovic首相は記者団の取材に応じ、Praljak被告が服毒してからまもなく死亡したと伝えた。
イスラム教徒への迫害で起訴される
ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦は1992年に勃発。当時、ボスニア国内にはセルビア人、クロアチア人、イスラム教徒がおり、クロアチア人とイスラム教徒は共にユーゴからの独立と連邦離脱を唱え、セルビア人は独立反対を唱えていたという。
その後、内戦へと拡大。セルビア勢力によるイスラム教徒に対する民族浄化ともいわれる残虐行為が明らかとなり、1995年8月末にはNATO空軍がセルビア人勢力に対する大規模な空爆を実施する。
一方、ボスニア・ヘルツェゴビナ分割交渉をきっかけに、クロアチア人勢力とイスラム教徒との対立も深刻化。両者の間で激しい戦闘も繰り広げられたという。
しかしその後、アメリカの仲介によりクロアチア人勢力とイスラム教徒が同盟を締結。さらにNATOの空爆によりセルビア人勢力も大きな打撃を受け、アメリカ主導の和平交渉に応じることになり、1995年11月にデイトン合意が成立する。
Praljak被告はクロアチア部隊の司令官として、イスラム教徒に対する迫害など数多くの戦争犯罪の容疑で、2013年に国連から起訴されていたという。
また同法廷では被告や傍聴人に対して厳しい手荷物検査などが行われていたが、わずかな量の液体と薬の持ち込みは禁止されておらず、今回の事態を防ぐことはできなかったとしている。(了)
出典元:ABC News:Convicted war criminal dies after drinking ‘poison’ in court(11/29)