不動産会社の会長が2兆円の巨額詐欺容疑で有罪、死刑判決が下される【ベトナム】
ベトナムで、大手不動産会社の会長が巨額の詐欺事件で起訴され、先日死刑判決が言い渡された。
GDPの3%に相当する額
起訴されたのは、不動産会社「ヴァン・ティン・ファット」の女性会長であるTruong My Lan被告(67)だ。彼女は125億ドル相当(約2兆円)の詐欺容疑で正式に起訴され、裁判で審理が行われていた。
125億ドル(約2兆円)は、2022年におけるベトナムのGDP(国内総生産)のほぼ3%に相当する額で、同国では最大の金融詐欺事件として報じられていた。
国営メディア「VnExpress」の報道によると、Lan被告は2012年から2022年にかけてサイゴン合資商業銀行を不法に支配し、2500件の融資を許可し、同銀行に270億ドル(約4兆1400億円)の損失をもたらしたという。
そしてベトナム南部のホー・チ・ミン市の裁判所は4月11日、Lan被告に対し死刑判決を下した。
深刻な結果をもたらした
Lan被告は初犯だったが、裁判所は彼女が組織的かつ洗練された犯罪計画の中心人物で、資金が回収される可能性もなく、深刻な結果をもたらしたとして、この厳しい判決を言い渡したという。
裁判所の判決文では、「彼女の行為は、個人や団体の財産管理権を侵害するだけでなく、サイゴン合資商業銀行を特別な管理状態に追い込むもので、党と国家の指導力に対する国民の信頼を損なうものだ」と書かれていたそうだ。
また会長の姪で、「ヴァン・ティン・ファット」社の最高経営責任者であるTruong Hue Van被告も、禁固17年の有罪判決を受けている。
幽霊会社への融資を承認し、お金を得る
Lan被告とその家族は、ベトナムが国営経済を廃止した1992年に、「ヴァン・ティン・ファット」社を設立。
その後、同社は高級住宅、オフィス、ホテル、ショッピング・センターなどのプロジェクトを手がけ、ベトナムで最も資金力のある不動産会社の1つに成長したという。
Lan被告は2011年、ベトナム中央銀行と連携して、苦境に陥ったサイゴン合資商業銀行と他の2つの金融機関との合併を指揮。銀行株の90%以上を間接的に所有し、「幽霊会社」への数千件の融資を承認し、そのお金は結局、彼女の手に渡ったそうだ。
この事件は、その規模において国民に衝撃を与え、海外投資家を不安にさせているとも言われている。(了)
出典元:ABC News:Vietnam sentences real estate tycoon Truong My Lan to death in its largest-ever fraud case(4/11)