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トランプ氏がデマ演説「6つの州では生まれた後の子どもを殺すのが合法」

トランプ氏がデマ演説「6つの州では生まれた後の子どもを殺すのが合法」
TeamTrump/Trump

8月29日、トランプ氏が選挙集会中に行った演説の内容が問題視されている。

 

赤ちゃんを殺すのが合法と演説

 

11月に行われるアメリカ大統領選挙で、争点の一つになっているのが「人工妊娠中絶」だ。ドナルド・トランプ氏を擁する共和党は、人工妊娠中絶に否定的な立場をとっている。

 

8月29日、トランプ氏はミシガン州での選挙集会中に行った演説の中で、人工妊娠中絶に触れ「(民主党を支持する)6つの州では、生まれた後の赤ちゃんを殺すことが認められている」と、明らかに虚偽の演説を行った。

 

 

さらに、「その州の一つが、このタンポン・ティムの出所であるミネソタ州だ」とした。ミネソタ州は副大統領に指名されているティム・ウォルズ氏が知事を務めている。ミネソタ州では、学校での生理用品の無料提供を実施しており、貧困などの理由で生理用品が手に入らない児童や学生を支援している。

 

トランプ氏は他の5つの州がどこであるかは明らかにしていないが、もちろんミネソタ州を含めたあらゆる州で、出産後の赤ちゃんを殺したら違法となる。

 

▼当日の選挙演説会場の様子

 

なぜ中絶が争点になるのか

 

2022年6月24日、連邦最高裁判所は1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄した。これは、女性が人工妊娠中絶をする憲法上の権利を認めた判決であり、結果的に独自の州法で中絶を禁止できるようになった。

 

連邦最高裁判事は、合衆国大統領が指名する終身職だ。2020年にリベラル派の判事が亡くなった際に、当時大統領だったトランプ氏は保守派の判事を後任に指名。保守派6名、リベラル派3名となり、保守派が優位となっている。

 

母体の命を救う場合やレイプなどの理由を除いて、人工妊娠中絶を全面禁止している州は現在15州(アラバマ、アーカンソー、アイダホ、アリゾナ、インディアナ、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、ノースダコタ、オクラホマ、サウスダコタ、テネシー、テキサス、ウェストバージニア)ある。特にアリゾナ州では、妊婦の命を救う場合を除いて全面禁止という厳しい制約だ。

 

また、妊娠6週目より後の人工妊娠中絶を、母体の命を救う場合やレイプなどの理由を除いて全面禁止している州もあり、6週目では妊娠に気づいていないケースも多く、ほぼ全面禁止だとの意見もある。

 

トランプ氏が再選することで、全国的な禁止措置を含めて人工妊娠中絶の禁止が進められるのではないかとの懸念があり、大統領選挙での争点となっている。

 

参考:MEDIA ITE「Trump Falsely Claims, ‘You’re Allowed to Execute the Baby’ in Six States」(8/29)

参考:JETRO「米アリゾナ州で人工妊娠中絶がほぼ全面禁止、トランプ氏は州別判断の立場維持」(4/12)

参考:IPPF「ロー対ウェイド判決とは?

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