英語も標識もわからない不法入国者が大型トラックを運転→3人死亡

St. Lucie County Sheriff’s Office

8月12日、フロリダ州の高速道路で、無謀な運転が原因で3名の命が失われる事故が起こった。その事故を起こした容疑者が、不法に入国した外国人だったことが注目されている。

トラックが車線を塞ぐ

この事件を起こしたのは、インド系のハルジンダー・シン容疑者（28歳）だ。フロリダ州セントルーシー郡の高速道路で、「公式車両専用」の通路を使って無断Uターンを行い、全車線を塞ぐ形となった。

その結果、猛スピードで走行していたミニバンがトラックの側面に衝突。ミニバンに乗っていた30歳男性、37歳女性、54歳男性が死亡した。

その事故の瞬間が、映像に収められている。

The truck driver who made an illegal U-turn on Florida’s Turnpike that led to the passing of 3 Americans, illegally entered the U.S. through the southern border in 2018.

Harjinder Singh has been charged with three counts of vehicular homic*de.

Singh got his Commercial Driver’s… pic.twitter.com/FGZVHDWMGs

— Collin Rugg (@CollinRugg) August 17, 2025

シン容疑者と同乗者にケガはなかった。

シン容疑者はカリフォルニア州で逮捕され、米国移民税関捜査局（ICE）に拘留後、フロリダへ移送。現在、故意ではないが重大な過失によって死亡事故を引き起こしたとして「過失致死罪（vehicular homicide）」で起訴されており、裁判を待っている状態だ。

不法入国者だが商業運転免許を所持

シン容疑者は、2018年9月に米国南部の国境を越えてカリフォルニア州に不法入国。2日後に国境警備隊に逮捕され、国外退去されるはずだった。

しかし、「インドに戻るのが怖い」と繰り返し主張し、2019年1月に5000ドル（約74万円）の移民保釈金を支払って釈放された。移民法違反に関する裁判の出廷や移民局の手続に従うことを条件に保釈された彼だが、2021年6月にはバイデン政権により労働許可が下り、カリフォルニア州で大型トラックを運転できる商業用運転免許証（CDL）を取得している。

シン容疑者の主張から、おそらく「恐怖に基づく庇護申請（asylum claim）」をしたものと推察される。第三国で難民プログラムを利用して入国する難民申請とは異なり、庇護申請は米国内から不法入国者でも申請可能だ。

カリフォルニア州は移民を擁護する州として知られており、特に庇護申請者に対して比較的寛容で、労働許可取得や運転免許取得を支援する制度が整っている。

免許取得の不備が発覚

カリフォルニア州で商業用運転免許証（CDL）を取得していたシン容疑者だが、2023年にはワシントン州で、英語能力テストと道路標識テストに不合格だったことが分かっている。英語能力評価（ELP）テストでは12問の口頭質問のうち正答はわずか2問、道路標識の識別では4つのうち1つしか正しく答えられなかったと伝えられている。

現在、連邦運輸省（DOT）が、免許発行の手続きが連邦規則に違反していた可能性を調査中だ。

移民に対する姿勢が問われる結果に

今回の事故を受けて、「外国人ドライバーの急増が米国民の命を危険にさらしている」との世論が広がりつつある。

マルコ・ルビオ国務長官は、Xにて「商業用トラック運転手向けの労働ビザの発給をすべて一時停止する」とした上で、「米国の道路で大型トレーラーを運転する外国人ドライバーの増加は、米国民の命を危険にさらし、米国人トラック運転手の生活を脅かしている」と投稿した。

Effective immediately we are pausing all issuance of worker visas for commercial truck drivers.

The increasing number of foreign drivers operating large tractor-trailer trucks on U.S. roads is endangering American lives and undercutting the livelihoods of American truckers.

— Secretary Marco Rubio (@SecRubio) August 21, 2025