米刑務所の受刑者が低体温症で死亡、冷凍庫に長時間入れられた可能性
アメリカのアラバマ州で、受刑者が低体温症で亡くなり、保安官事務所と刑務所の医療・矯正担当者に対し訴訟が起こされた。
1月26日には低体温症で死亡
亡くなったのは、アンソニー・ミッチェル受刑者(33)だ。彼は精神疾患を患い、今年の1月には家族から依頼され、警察がチェックに訪れた際に発砲し、逮捕されたという。
その後、ミッチェル受刑者はアラバマ州にあるウォーカー郡刑務所に収監されたが、やがて病院へ搬送され、1月26日には低体温症で死亡した。
このためミッチェル受刑者が、刑務所でウォークイン冷凍庫に何時間も拘束された後、凍死した可能性があるとし、今回裁判が行われたそうだ。
何時間も放置された可能性
訴えによれば、ミッチェル受刑者は1月25日の夜、罰として刑務所のキッチンにあるウォークイン冷凍庫か、その他の低温環境にある拘束椅子に座らされ、何時間も放置された「可能性が高い」という。
また原告側は、医療関係者と警官が5時間もの間、救急車を呼ぶことも、ミッチェル受刑者の治療もしなかったと主張している。
ミッチェル受刑者の家族は、刑務所の職員が治療を遅らせ、彼への虐待を隠蔽しようとしたと訴えているそうだ。
病院到着時の体温は22度
記録によると、ミッチェル受刑者が病院へ到着した時の体温は22度しかなく、医師は3時間にわたって蘇生を試みたが、死亡が確認されたという。医療記録の中で医師は、次のように述べている。
「患者がどのような状況で収監されていたのかはわからないが、刑務所に収監されている間に、直腸温が22度しかないというのは理解しがたい。彼が寒い環境にさらされた可能性があるかどうかはわかりません。しかし私は、低体温症が彼の死の最終的な原因であったと信じています」
保安官事務所は当初、ミッチェル受刑者が刑務所を出て、病院に到着した時には「意識もあった」と述べていたという。
しかし今回、裁判では刑務所の職員によって撮影された監視映像が公開され、そこにはぐったりとして意識がないようなミッチェル受刑者が、警察車両に運ばれていく様子が映っていたそうだ。
原告側の弁護士は、訴訟の中で「これは、この国が見た中で最もひどい刑務所内虐待の事例の1つである」と述べている。(了)
出典元:BBC:Man freezes to death in Alabama jail’s walk-in freezer, says lawsuit(2/16)