サルバドール・ダリが描いた幻のタロットカード、30年ぶりに再販
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シュールレアリスムの代表的な作家、サルバドール・ダリ。
ドロリと融けた時計のイメージや、数々の奇行、ピンと上を向いたカイゼル髭などで彼の名は広く知られている。
だが、その彼が、オカルトや神秘主義に惹かれていて、タロットカードのデザインをしていたことは、ほとんど知られていないのではないだろうか。
そしてそのタロットが、今月から販売されている。
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ジェームズ・ボンド映画の小道具として制作
販売元のドイツ・タッシェン(Taschen)社によれば、このタロットカードは、当初映画の小道具として作られたものだそう。
1970年代に映画『007 死ぬのは奴らだ(Live and Let Die)』を制作中だったプロデューサー・Albert Broccoli氏は、映画中に使うタロットカードのデザインをダリに依頼した。
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当時のダリは、愛妻ガラ(Gala Eluard Dalí)の影響を強く受けて神秘主義に興味を持つようになっており、この依頼を喜んで受けたといわれている。
しかし、ダリが作ったタロットカードは映画には使われなかった。その理由は、映画の制作予算700万ドル(約7億6000万円)に見合わないほどの高額な料金を、ダリが請求したからだという。
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映画では不採用になったが、その後もダリはタロットカードの制作を続け、完全なセットを1984年に完成させた。それは同年にドイツの出版社「タッシェン」社から数量限定で発売され、すぐに完売。その後30年間市場に出回ることはなかった。
独特のモチーフやダリ本人も登場
再販が開始されたタロットカードには、ダリならではのタロットの解釈が表現されている。切り抜かれた人の顔や蟻、薔薇、蝶といった、彼独特のモチーフがあちこちに使われている。
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「魔術師(The Magician)」のカードに登場するのは、ダリ本人だ。また、妻のガラが「女帝(The Empress)」になっている。「ソードの10(Ten of Swords)」のカードに描かれているのはシーザー暗殺の場面で、これはダリのアイディアらしい。
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11月15日から再販開始(予約販売)されるダリのタロットカード、解説書付きで値段は60ドル(約6500円)だという。(了)
出典元:boredpanda:Salvador Dalí’s Surreal Tarot Card Deck To Be Released Again 30 Years After It Was First Designed(11/12)
出典元:Taschen:The Magician, Death, and the Moon