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南大西洋のザトウクジラの個体数が劇的に増加、最少期に比べ93%増

南大西洋のザトウクジラの個体数が劇的に増加、最少期に比べ93%増

1700年代から1900年代半ばにかけて、世界中で30万頭も殺されたと言われているザトウクジラ。

 

現在もいくつかの集団は絶滅が危惧されているが、南大西洋西部に生息するザトウクジラの数が著しく回復していることが最新の研究で明らかにされた。

 

南大西洋西部に生息しているグループ

 

Royal Society Open Science において発表された研究によれば、この地域のザトウクジラは現在2万4900頭もおり、絶滅の危機に立たされた時期と比べて、約93%も増えているという。

 

そもそも南大西洋西部のザトウクジラは、南半球に生息する7つのグループのうちの1つとして、国際捕鯨委員会にも認められている。

 

しかし南極において商業捕鯨の主要なターゲットとして、1800年代の初頭以降まで数万頭が殺され、1958年までには約440頭しか残っていなかったそうだ。

 

2006年からの調査では30%までしか増えず

 

1986年に国際捕鯨委員会が世界中の全てのクジラの商業捕鯨のモラトリアム(一時停止)を実行してから、このエリアのザトウクジラは個体数を回復させる機会を得たという。

 

ただ2006年から2015年に行われた国際捕鯨委員会の調査では、2000年代半ばまでに減っていた個体数の30%しかリバウンドしていなかったそうだ。

 

しかし最新の研究を行った研究者らは、その調査では現在のザトウクジラの状態は完全に描ききれていないと疑い、再び調査を行うことになった。

 

船による調査データも組み入れる

 

今回、研究者らは、正確なクジラの頭数を見積もるために、まず捕鯨が盛んになる前にどのくらいの数がいたのかを調査したという。

 

その結果、1830年には約2万7200頭、1904年には約2万4700頭、1926年までには700頭に激減したと見積もられた。

 

また以前の国際捕鯨委員会による調査では、上空からクジラを数えていたが、そのスピードの速さのために見逃していた個体もいた可能性があることも踏まえ、新しい調査ではゆっくりとしたペースで進む船での調査データも組み込んだという。

 

その結果、現在南大西洋西部では約2万5000頭のザトウクジラが生息域を泳いでいると見積もっているそうだ。また2030年までには、大量に捕獲されていた時期に比べて、99%も回復する確率が高いと見ている。

 

しかし同時に研究者は、現在もクジラは別な脅威にさらされているという。それは「気候変動」だ。

 

これがザトウクジラの主な食料となる「オキアミ」に影響を与え、それが南へ移動することで将来はペンギンやオットセイとの間で食べ物を巡る競争が起きる可能性を指摘している。

 

ただし研究者らは、クジラが信じられないほど強靭な生き物であるとし、「このこと(今回の回復)は、もしわれわれが正しいことをすれば、頭数が回復することを示す明確な例だ」と述べている。(了)

 

出典元:Smithsonian.com:South Atlantic Humpback Whales Have Rebounded From the Brink of Extinction(11/19)

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