イギリスでは海面上昇の速度が増している:英気象庁
イギリスの海面上昇の速度が、100年前よりもずっと速くなっていると、英気象庁が明らかにした。
より高い気温が常態化している
イギリス気象庁が毎年発表している気候と気象に関する調査リポートによれば、より高い気温がイギリスでは新たに常態化しているという。
実際に、世界の平均的な気温上昇ペースよりも、わずかに早く温暖化しているそうだ。ただし自然保護活動家は、春の訪れが早くなっているが、動植物の進化が気候変動に適応できるほど速くなっていないことを警告している。
また海面の上昇する速度が、100年前よりもはるかに速くなっているという。
上昇率は前世紀初頭の2倍以上
海面は1900年以降、約16.5cm上昇しているが、気象庁によると、上昇率は高まっているという。
現在、1年で海面が3mmから5.2mmまで上昇しているが、この速さは前世紀初頭の2倍以上の割合になるそうだ。
このため、海岸のより多くの場所が、強力な高潮と風にさらされ、家屋に被害が出ているという。また科学者は、約50万戸の家屋が洪水のリスクにさらされている、と述べている。
2021年の気候を評価
今回の調査リポートは2021年の気候や気象現象を評価したものだが、昨年11月には「ストーム・アーウェン」がイギリスを襲い、破壊的な洪水を引き起こしたという。
しかし国立海洋センターのスベトラーナ・ジェブリエヴァ博士は、「ストーム・アーウェン」が通常より低い潮位の時に襲来したため、異常な海水面の上昇は避けられたとした上で、次のように述べている。
「海岸線は常に変化していますが、気候変動と海面上昇はその変化を強調しています。規模、速度、影響は変化し、それはかなり早く劇的に変化するでしょう」
約200年前の産業革命以来、地球は人間活動による温室効果ガスの影響で1.1℃も温暖化したが、今後20年で1.5℃以上の温暖化に達すると予想されている。(了)
出典元:BBC:Climate change: UK sea level rise speeding up – Met Office(7/28)