カリフォルニア州で稀少な「ウルヴァリン」の目撃情報、複数寄せられる
カリフォルニア州東部の山脈で、非常に珍しい「ウルヴァリン」の目撃情報が複数寄せられた。
100年間で2頭しか確認できず
「ウルヴァリン」とは「クズリ(別名:クロアナグマ:イタチ科)」のこと。体長は65cmから1mほどで小柄だが、性格は非常に獰猛で、自分よりも大型の獲物の背中に飛び乗って、攻撃するという。
主に寒い地域、カナダやスウェーデン、ノルウェーやフィンランド、アメリカ西部にも生息していると言われているが、カリフォルニア州では過去100年間で確認された「クズリ」は2頭しかいない。
ところが先月、カリフォルニア州東部に広がるシエラ・ネバダ(山脈)で、「クズリ」の目撃情報が複数寄せられた。
専門家も「クズリ」と確認
カリフォルニア州魚類野生生物局(CDFW)は先日、5月にシエラ・ネバダ(山脈)で同一の「クズリ」と思われる複数の目撃情報を確認したと発表した。
2件の目撃情報は、Inyo郡とMono郡の「Inyo National Forest」から寄せられ、3件目は、Tuolumne郡の「ヨセミテ国立公園」で目撃されたという。
これらの画像や動画は、それぞれ別の場所で、別の人物によって撮影され、分析のためにCDFWに送られた。(ただし現時点で公開されているのは、写真のみ)
その後、CDFWが森林局の「クズリ」の専門家と協議。科学者たちは、その大きさ、体の比率、色合い、動きのパターンなどから、「クズリ」であることを確認したそうだ。
過去とは別の個体である可能性
「クズリ」は、カナダとアラスカに広く分布し、アメリカでもロッキー山脈とカスケード山脈(カナダから連なる)には、より少数の個体群があるという。
しかし、カリフォルニア州では、2008年から2018年までに1頭のクズリを記録したのみ。それ以前に、州内で「クズリ」の目撃情報が確認されたのは1920年代だったという。
クズリの寿命は、通常12~13年ほど。そのことを考えると、今回の「クズリ」は、2018年に目撃されたものとは、別の個体である可能性が高い。
カリフォルニア州では、「クズリ」は完全保護種に分類され、カリフォルニア絶滅危惧種法に基づく「絶滅危惧種」に指定されている。
「クズリ」は森の中で最強の動物と言われることもあり、オオカミも恐れないことから、「狼狩りをする人」という意味で「ウルヴァリン」と呼ばれるようになったとの説があるという。(了)
出典元:ABC7:Rare sighting: Wolverine spotted by multiple witnesses in Sierra Nevada Mountains(6/3)
出典元:CDFW:Rare Sighting Of Wolverine Confirmed In Multiple California Counties(6/1)