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カリフォルニア州、「頭がいいから」などの理由でタコの養殖禁止へ

カリフォルニア州、「頭がいいから」などの理由でタコの養殖禁止へ
写真AC

9月27日、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が州内でのタコの養殖を禁止する法案に署名。2025年1月1日より施行される。この法案により、州外から養殖のタコを流入することも禁止となる。

 

食用タコの養殖は「残酷」

 

法律の条文では、タコを「知性が高くて好奇心旺盛で、問題解決能力のある動物」としており、意識と感覚を持ち、「痛み、ストレス、恐怖、そして喜び、平静さ、社会的絆」を感じるとしている。さらに、研究により、タコは個々の人間を識別し、長期間記憶する能力を示したと指摘している。

 

研究の内容は、シアトル水族館で8匹のミズダコに対して、1人は必ずエサを与え、もう1人は必ず棒でタコの肌をひっかくというもの。2週間後、棒を持った人間が近づくとタコは離れ、いつでも逃げられるように水を噴射する漏斗を相手に向けるようになった。一方、エサを与える人間が近づくと、タコは水槽の横にゆっくりと近づいて漏斗をそらしたという。

 

タコの養殖が環境破壊につながる

 

Animal Legal Defense Fund (動物保護法律基金、ALDF)は、タコは他の個体を敵とみなすので、養殖環境はストレスになること、屠殺方法が残酷であることを理由に挙げ、タコの養殖に反対している団体だ。

 

養殖されたタコが囲いから逃げ出し、地元の野生個体群に影響を及ぼす大きなリスクがあること、海洋の養殖場が行う水温調整などが周囲の生態系や他の海洋生物に害を及ぼすリスクがあることを指摘している。さらに、タコは人間に感染する可能性のあるコレラなどの病原体を持っていることもあり、その治療のための抗生物質を養殖場で使用すると、多剤耐性菌が生まれる可能性があるとしている。

 

産業が大きくなる前に禁止を

 

今回の法案成立により、カリフォルニア州は、ワシントン州に続いてタコの養殖を禁止する 2 番目の州となった。同様の法案は、米国上院とハワイ州でも提出されており、各支援団体はこの動きが広まっていくことを期待している。

 

なぜタコの養殖禁止が広がりつつあるのかというと、大きな産業となっている豚や鶏などの養殖を禁止するのは難しいが、タコ養殖が産業として大きくなる前に禁止することで野生動物を守ろうという考えのようだ。(了)

 

参考:LA TIMES「Newsom signs bill to ban octopus farming in California」(9/29)

参考:Animal Legal Defense Fund 「Octopus Farming Ban (California)

参考:VANCOUVER HUMANE SOCIETY「Federal e-petition: No factory farms for octopuses」(2023/3/1)

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