米議事堂襲撃事件の重罪犯に恩赦、「プラウド・ボーイズ」や「オース・キーパーズ」の指導者も釈放
2021年1月6日にアメリカ議会襲撃事件に関与したとして、刑務所に収監されていた人物らが、続々釈放されている。
約1500人の受刑者に恩赦
アメリカのトランプ大統領は、1月20日の就任宣誓直後、議会襲撃事件に関与した約1500人の受刑者に対して、恩赦を与えた。
これを受け1月21日には、受刑者らが続々釈放され、その中には極右組織「プラウド・ボーイズ」のリーダー、エンリケ・タリオ氏や、「オース・キーパーズ」の元リーダー、スチュワード・ローズ氏も含まれていたという。
ローズ氏は反逆罪で18年の刑期を宣告されていたが、21日の夜中過ぎには、メリーランド州カンバーランドにある刑務所から釈放されたそうだ。
BREAKING: Enrique Tarrio, the former head of the Proud Boys, and Stewart Rhodes, the head of the Oath Keepers, were released Tuesday from prison following Pres. Trump’s sweeping pardon of those convicted in the Jan. 6 Capitol riot.
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— World News Tonight (@ABCWorldNews) January 21, 2025
武器を集めていた人物
議会襲撃事件当時、ローズ氏は議事堂には入らなかったが、銃器を近くのバージニア州のホテルに備蓄するのを手伝ったと言われている。
タリオ氏も議事堂には侵入しなかったが、平和的な権力移譲を阻止する陰謀を画策した罪で有罪となり、22年の刑に服していたという。
他にも、当時下院議長だった、ナンシー・ペロシ氏の執務室に入った人物も恩赦を受け、釈放されている。
BREAKING: Richard Barnett, the man who put his feet on Nancy Pelosi’s desk has just been released from prison. pic.twitter.com/EfAilk0UYu
— Ian Jaeger (@IanJaeger29) January 21, 2025
608人が警察官への暴行などを働く
襲撃事件の裁判で有罪判決を受けた者の多くは、武器を携えて議事堂に侵入し、または警察官などから武器などを奪ったと言われている。
また当時は、襲撃しようとするつもりはなく、暴力行為に参加せず、平和的な抗議活動として議会へ集まったトランプ支持者もおり、彼らにも有罪判決が下されたことから、議論になっていた。
このためヴァンス副大統領は先日、議会襲撃事件で「暴力を振るった人物には、恩赦を与えるべきではない」とし、平和的な抗議活動に参加して起訴された人と、区別するよう主張していた。
しかし、今回トランプ大統領は、重罪犯にまで恩赦を出したため、事件当時、襲撃されて身の危険を感じた議員たちは、怒りを表明しているそうだ。
トランプ大統領は、有罪判決を受けた人々を「人質」と呼び、選挙運動中も彼らを愛国者と繰り返し呼んでいた。
しかし議会襲撃事件に関連して起訴された約1500人のうち、608人が警察官への暴行、抵抗、妨害の罪で起訴され、実際に約140人の警察官が負傷。1人の警察官が現場で負傷した後に死亡し、4人が自殺している。
恩赦を与えたことについて、「警察官に暴力を振るっても許される、と国民に受け取られませんか?」との記者からの問いかけに対し、トランプ氏はまともに答えていない。
現職および元司法省の高官らは以前から、トランプ大統領が暴力犯罪者に恩赦、あるいは釈放を下す可能性について懸念を表明。極右組織が、事件を追及した検察官や禁錮刑を下した裁判官、彼らに不利な証言をした証人を標的にする、潜在的リスクを指摘していた。(了)
出典元:The Guardian:Proud Boys and Oath Keepers leaders among January 6 prisoners released by Trump(1/21)
出典元:ABC News:Oath Keepers, Proud Boys leaders out of prison after Trump Jan. 6 pardons(1/22)