トランプ氏がICCへ制裁を科す大統領令へ署名、世界各国が批判
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アメリカのトランプ大統領は先日、国際刑事裁判所(ICC)の職員に対し制裁を科す大統領令に署名したが、これに対し世界各国が反発している。
70カ国以上が共同声明で批判
ICCは昨年、イスラエルのネタニヤフ首相やガラント元国防相に対し、ガザ地区で戦争犯罪を犯したとして、逮捕状を発行した。
これに反発し、トランプ大統領は2月6日、ネタニヤフ首相などの捜査を担当してきたICCの職員に対し、制裁を科す大統領令に署名した。(アメリカとイスラエルは締約国ではない)
この動きに対し、フランスやドイツ、イギリス、オランダを含む70カ国以上のICCの加盟国(ローマ規定締約国)は、共同声明を発表。「ICCの独立性、公平性、完全性に対する継続的かつ揺るぎない支持」を表明し、次のようにトランプ大統領を批判した。
「国際刑事裁判所(ICC)は、最も重大な国際犯罪に対する説明責任と被害者への正義を保証することで、国際司法制度の重要な柱としての役割を果たしている。このような措置(制裁)は最も重大な犯罪に対する免責のリスクを高め、世界秩序と安全を促進するために極めて重要な国際法の支配を蝕む恐れがある」
国際人権NGOも制裁を非難
また国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」のアグネス・カラマール事務局長も、このICCへの制裁を「無謀」と非難。次のようにトランプ大統領を批判した。
「これは、すべての人に正義をもたらすことを目指している世界のルールを破壊する、復讐心に満ちた攻撃的で残忍な措置だ」
またカラマール事務局長は、ICCのような機関が人権保護を推進し、将来の残虐行為を防ぐためにも重要だとし、次のように述べた。
「ガザ地区のパレスチナ人に対する大量虐殺、ウクライナに対するロシアの侵略、そして多方面から世界の法の支配が脅かされている歴史的瞬間に、人権保護を推進し、将来の残虐行為を防ぎ、被害者に正義をもたらすために、裁判所のような機関がこれまで以上に必要とされている」
ICCの活動にどのような影響?
トランプ大統領がICCに制裁を科したことで、どのような影響が出るのだろうか?
まずICCの職員を制裁対象にすると、彼らの移動や資金へのアクセスが困難になり、進行中の調査が妨げられる可能性があるという。
またトランプ大統領の制裁発動は、戦争犯罪者を裁きにかける国際的な取り組みの信用を失墜させるリスクもあるそうだ。
イギリスの王立国際問題研究所の教授であるYossi Mekelberg氏は、「これ(ICCへの制裁)は、組織としてのICCとそこで働く人々を脅迫する試みだ。(大統領令は)人々にICCへの協力を躊躇させる恐れがある」と述べている。
一方、ロンドン大学クイーン・メアリー校の法学教授であるネーヴ・ゴードン氏は、ICCの「非常に勇敢な」スタッフが捜査から撤退するとは予想していないとし、次のように述べた。
「彼らの抵抗の歴史と、長年の圧力にもかかわらず、法律を守るために立ち上がって権力に真実を語る意志を考えると、この大統領令が彼らを屈服させるとは思えない」(了)
※ICCへの制裁については、NHKの記事も参考になる。ぜひ、ご覧いただきたい。
出典元:Aljazeera:LIVE: Hamas names more captives to be freed but says Israel violating deal(2/7)