ロシアとウクライナが黒海での海上停戦に合意、米発表

アメリカ政府は3月25日、ロシアとウクライナが黒海での停戦に合意したと明らかにした。
ロシアに対する制裁の一部を緩和
ホワイトハウスは、サウジアラビアのリヤドで行われたロシアとウクライナとの会談の内容を発表。
その上で、黒海での船舶の安全な航行を確保し、武力の使用を排除し、商業船の軍事目的の使用を防止するための海上停戦に合意したと明らかにした。
またロシアとウクライナは、エネルギーインフラへの攻撃を阻止するという以前の合意を「実施するための対策を策定」することにも合意したという。
さらにウクライナとロシアは、「永続的で、耐えうる平和の実現に向けて引き続き取り組む」ことにも合意した。
ウクライナに対しては、アメリカ側が「捕虜の交換、民間人被拘束者の解放、強制的に移送されたウクライナの子供たちの帰還の実現を支援することに引き続き尽力すること」を確認したという。
一方、ロシアに対しては、アメリカが「農産物や肥料の輸出のためのロシアの世界市場へのアクセスを回復し、海上保険のコストを引き下げ、こうした取引のための港湾や決済システムへのアクセスを高めることを支援する」とし、制裁の一部を緩和すると述べた。
その上でホワイトハウスは、「永続的な和平合意を達成するために必要なステップとして、ロシア・ウクライナ紛争の双方における殺害を停止しなければならないというドナルド・J・トランプ大統領の要請を繰り返す。そのために、アメリカはリヤドでなされた合意に沿って、平和的解決を達成するために双方の交渉を促進し続ける」と述べた。
英政府「進展を見守る」
この発表を受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は、黒海とエネルギーインフラを対象とする停戦が3月25日に即時発効したと発言。また、もしロシア側が合意を破った場合、ウクライナはトランプ大統領にさらなる武器を求め、ロシアに対する制裁を求めると述べたという。
イギリス政府も、黒海での海上停戦に合意したことを受け、「進展を期待している」と述べた。
ただしイギリス政府は、合意の一環として、ロシアに対する制裁の緩和に向けたアメリカの取り組みに従うかどうかは、明らかにしていない。
イギリスの首相官邸の報道官は「現時点での我々の立場は、明らかに進展を期待しているということだ。我々は進展を注意深く見守っている」と述べた。
しかし著名な人権活動家のビル・ブラウダー卿は、黒海での停戦発表を受けて、ロシアに対する制裁を緩和すべきではないと警告。PA通信社に次のように語った。
「これは完全に的外れだ。ロシアは病院、学校、アパートなどの民間のターゲットを粉々に破壊し続けることができるし、そうするだろう。そして、この譲歩を得ることで、戦争資金の主要な原動力の1つである、ロシアの石油精製所を救うことになる。さらに言えば、ロシアを制裁から解放することは、何万人もの罪のないウクライナ人を殺し、1兆ドルの損害を与えた国に対する適切な対応とは言えない」(了)
出典元:The Guardian:Russia and Ukraine agree to Black Sea ceasefire, US says – Europe live(3/25)