虚偽の主張を堂々とする米報道官、批判されたBBCが反論

アメリカ・トランプ政権の報道官が、イスラエルについての報道に関し根拠もなくBBCを批判したのだが、その発言内容があまりにも事実とは異なるとして非難を浴びている。
ガザ地区での報道についてBBCを批判
ホワイトハウスのリービット報道官は6月3日、記者会見で、ガザ地区でのイスラエルの行動に関するBBCの報道を批判した。
リービット報道官はまず、「私たちは、ハマスの言葉を全面的に真実として受け止めていません。BBCとは異なり、ハマスが発言した際には、その内容を精査したいと考えています」と述べた。
その上で彼女は、6月1日に「ガザ人道財団」の配給所に集まったパレスチナ人を、イスラエル軍が砲撃し、殺害したとのBBCの報道を取り上げ、次のように述べた。
BBCニュース – 【検証】 米報道官がBBCのガザ報道を批判、その真偽はhttps://t.co/ZPkgWJP7gP pic.twitter.com/Fg34orB1Fw
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) June 5, 2025
「動きの速いニュースでは普通のこと」
この批判に関し、BBCニュースの分析編集者であるロス・アトキンス氏は、リービット氏の発言には「事実と異なる点が多く含まれている」「これには誤解と虚偽が混在している」と主張。次のように説明した。
「BBCは1日を通して、速報ニュースの常として、繰り返し報道内容を更新しました。死者数に関する最新の報道はすべて、独立機関である赤十字を含む、ガザ地区の複数の情報源からの情報であることが明確に示されていました。このような情報の扱いは、事態が進展し、詳細の確認が困難な場合には標準的な手法です。また、イスラエルが国際報道機関のガザ地区への立ち入りを許可していないことを考えると、この紛争を報道する上では必然でもあります」
またアトキンス氏は、BBCが「記事全体を削除せざるを得なかった」というリービット氏の主張は事実ではないと主張。「BBCはこの件に関する報道を一切削除していません。記事はオンライン上に残っています」と述べた。
またBBCも、声明で次のように反論した。
「BBCが映像を確認した後に、記事を削除したという主張は全くの誤りです。私たちはいかなる記事も削除しておらず、ジャーナリズムを堅持しています。キャロライン・リービット氏は、BBCが記事の見出しの死傷者数を変更したことを批判しました。BBCの報道は1日を通して新しい数字で更新されており、これは『動きの速いニュース』ではごく普通のことです」
BBCジャパンの投稿にも、「呆れた」など、リービット報道官に対する、数多くの非難のコメントが寄せられている。
記事を削除したかどうかなどは、調べれば簡単に分かるものだが、それを故意にしなかったのならば、悪質な情報操作と言えるだろう。(了)
出典元:Huffpost:BBC Hits Back At Karoline Leavitt’s ‘Repeatedly False’ Attack On Its Gaza Coverage(6/5)
出典元:The HILL:BBC defends its Gaza coverage against White House claim(6/4)