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長時間使用できる「リチウム硫黄電池」、イオン電池に置き変わるか?

長時間使用できる「リチウム硫黄電池」、イオン電池に置き変わるか?
flickr_Oak Ridge National Laboratory

スマートフォンやPC、さまざまな電化製品に使用されている「リチウムイオン電池」。これに変わる新しい電池の研究が進み、注目を集めている。

 

5日間連続でスマートフォン使用可

 

その新しい電池とは「リチウム硫黄電池」だ。

 

これは非常に低コストで長寿命。蓄電容量も多く、高エネルギー密度を持つ次世代蓄電池システムの最も有望な候補の1つされ、将来「リチウムイオン電池」に置き換わるものとして期待されているという。

 

実際、オーストラリアのモナシュ大学の研究者は、将来的に1回の充電で5日間もスマートフォンが使えたり、途中充電することなく1000km以上走行したりすることが可能となりえる「リチウム硫黄電池」を開発したと主張している。

 

ただしこの電池は「硫化リチウム」と「多硫化リチウム」の蓄積により、劣化すると言われており、その点の克服が課題になっていたそうだ。

 

触媒で課題を克服

 

しかし、韓国の光州工科大学(GIST)の科学者によると、この解決策は、化学反応中に消費されることなく反応を変えるために使用できる物質、触媒を見つけることで克服できたという。

 

科学者たちは、シュウ酸コバルトがリチウム硫黄電池でも硫黄と同様の動きを示すという仮説を立て、硫黄カソード上にシュウ酸コバルトの層を追加してリチウム硫黄電池を作ることで検証した。

 

この結果、触媒が硫黄を吸収し、固体硫化リチウムと液体硫化リチウムの還元と解離が可能であることを発見したという。

 

また、硫黄の吸収によりリチウム硫黄電池の自己放電が防止され、電池の寿命、性能、エネルギー貯蔵がすべて改善されたそうだ。

 

「リチウム硫黄電池」は大規模なエネルギー貯蔵装置に加え、無人航空機、電気バス、トラック、列車などの効率的な電気輸送を実現させる可能性があると言われている。

 

また2017年、カリフォルニア州にあるローレンス・バークレー国立研究所の科学者たちは、硫黄を海藻に置き換える方法も考案。これにより、バッテリーのさらに長い寿命を実現できると主張しているという。(了)

 

 

出典元:INDEPENDENT:SULFUR BATTERY BREAKTHROUGH COULD BE THE FUTURE OF ELECTRIC PLANES, TRAINS, AND AUTOMOBILES, SCIENTISTS SAY(1/22)

参考:EMIRA:リチウムイオン電池をしのぐ高容量! 豪の研究グループが新型リチウム硫黄電池を開発(2020/3/3)

参考:electrek:This breakthrough may revolutionize lithium-sulfur batteries(2/24)

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