カナダが9月にパレスチナの国家承認をする意向、各国の反応とは?

イギリスに続き、カナダもパレスチナの国家承認を行うと宣言し、これでG7の中で3カ国目となった。
9月の国連総会の場で承認
カナダのカーニー首相は7月30日、今年9月の国連の場で、パレスチナを国家として承認する意向を示した。
カーニー首相は、カナダ政府が「和平交渉」による、二国家解決の実現を期待していたが、そのアプローチはもはや維持できないと主張。第80回国連総会の場で、パレスチナを国家承認すると明らかにした。
またカーニー首相は、今回の国家承認は、パレスチナ自治政府とアッバス議長による改革の約束、そして2026年の総選挙実施の確約に基づくものだと発言。
「ハマス」については、パレスチナの将来においていかなる役割も担うことはできず、将来の選挙への参加も認められないと強調した。
アッバス議長は、イスラエルの脅威にならないよう、パレスチナの国家を軍事化しないことも約束しているという。その上でカーニー首相は、次のように述べた。
「カナダは、イスラエルが中東における独立国家として平和で安全に存在することを、変わらず揺るぎなく支持する。イスラエルにとって永続的な平和を実現するための道のりには、存続可能で安定した、奪うことのできないイスラエルの安全保障の権利を認める、パレスチナ国家も必要だ」
To preserve the path to peace through a two-state solution, Canada intends to recognize the State of Palestine. pic.twitter.com/jF3ATHXZ6p
— Mark Carney (@MarkJCarney) July 31, 2025
「この動きを阻止し続ける」
このカナダの発表に対して、イスラエル側は反発。これは逆効果であり、「ハマス」に譲歩し、彼らに報奨を与えるものだと非難した。
またイスラエルのネタニヤフ首相は、これまでの政治家としてのキャリアを通じてパレスチナ国家の樹立を阻止してきたと述べ、自身と右派連合が政権に就いている間は、この動きを阻止し続けると語った。
アメリカのトランプ大統領は、カナダの表明に対して、SNSにおいて「パレスチナ国家を承認する計画は、カナダとの貿易協定締結を非常に困難にさせるだろう」と投稿した。
トランプ政権は、貿易協定が成立しない場合、8月1日から多くのカナダ製品に35%の関税を課すと発表している。
一方、ポルトガル政府も7月31日、9月の国連の場での、パレスチナの国家承認を検討していると明らかにした。
ルイス・モンテネグロ首相の事務所は、パレスチナの国家承認問題について、大統領と議会と協議する予定であると述べた。
トルコのエルドアン大統領は、パレスチナの国家承認を進める欧州諸国の増加を歓迎。次のように述べた。
「欧州、特にフランスとイギリスからの最近の人道的対応は非常に貴重だ。パレスチナ国家承認に向けた、あらゆる動きを歓迎する」
またエルドアン大統領は、「ガザ地区での残虐行為を目の当たりにして、誰も沈黙を守ることはできない。子供たちが飢えで亡くなり、食糧を求める民間人が意図的に銃撃されている」と述べ、今後数日中にイスラエルにさらなる圧力をかけると明らかにした。
111人のパレスチナ人が死亡
そのガザ地区では7月31日も、イスラエル軍による容赦のない攻撃が続けられ、ガザ地区の保健当局によれば、過去24時間で少なくとも111人のパレスチナ人が死亡し、820人が負傷したという。
死亡した人のうち、91 人が支援物資を求めて配給所などにいて、イスラエル兵に銃撃された人々だと言われている。
ガザ地区の保健当局は、2023年10月以降、イスラエル軍の攻撃により、ガザ地区ではパレスチナ人6万249人が死亡、14万7089人が負傷したと明らかにした。
また医療関係者によれば、7月31日には2人の子供が餓死し、飢餓による死者数は合計159人で、うち90人が子供だという。(了)
出典元:Aljazeera:LIVE: Israel’s attacks on Gaza kill 41 as starvation deaths mount(7/31)