市民の強い抗議を受け、米農務省がネコを利用して殺す研究の中止を発表
アメリカ農務省は先日、ある調査研究に為に子猫を殺すことを中止すると発表した。
これは市民などからの強い反発があったからとされている。
「トキソプラズマ症」の研究に利用
これまで成長したネコや子猫は、「トキソプラズマ症」と呼ばれる病気の研究のために、農務省のAgricultural Research Services(ARS)において利用されてきたという。
「トキソプラズマ症」は寄生性原生生物による感染症で、たいていネコや汚れた食べ物の中から検出されるそうだ。
そのためARSの研究者らはアジアの市場で数百匹の犬や猫を購入し、その後安楽死させ、その肉を健康なネコに食べさせて、この病気に感染させてきたと言われている。
寄生虫の卵はそのネコたちの中で育ち、他の実験のために取りだされた後、感染したネコたちも安楽死させられてきたという。しかし獣医のグループは、「トキソプラズマ症」は治すことができ、ネコたちは引き取られるべきだと主張を続けてきたそうだ。
HEADLINE: “No more 'kitten slaughterhouse': Government halts deadly cat experiments” pic.twitter.com/nZ7zYhw9Sz
— DJ Bouncy Castle (@DJBouncyCastle) April 3, 2019
これまで3000匹以上が殺される
動物実験禁止を求める団体「White Coat Waste Project (WCWP)」によれば、この研究プログラムが1982年に立ち上げられてから、3000匹以上の子猫が安楽死させられてきたという。
また研究プログラムのコストは、2200万ドル(24億円)もかかっていたとされ、今年の3月に「子猫法」と呼ばれる超党派の法案が導入された際には、この研究プログラムが「納税者からの資金で行われる屠殺」だとみなされたそうだ。
今回の決定において農務省は声明で、トキソプラズマ症研究は方向転換をされることになり、ネコの使用は継続されず、復活することはないだろうと発表した。
この法案の鍵となる人物の1人、民主党のJimmy Panetta下院議員は、「農務省の発表は、政治において何が可能かを示すものだ」と発言している。
また研究プログラムで残された14匹のネコは、今後農務省の職員に引き取られることになるそうだ。
その一方で同省は、この研究が特に胎内にいる子供や免疫力が落ちた人々に対し、危険なトキソプラズマ症の感染率を半分に下げるために役立っていたとも述べている。(了)
出典元:BBC:Animal testing: US closes ‘kitten slaughterhouse’ after outcry(4/3)
出典元:NBC:No more ‘kitten slaughterhouse’: Government halts deadly cat experiments(4/3)