SNS企業によるアカウント凍結は違法、テキサス州で新たな法律を導入へ
アメリカのテキサス州で、SNS企業によるユーザー・アカウントの凍結を違法とする法律が成立した。
保守的な意見を検閲している?
テキサス州のGreg Abbott知事は9月9日、フェイスブックやツイッターなどのSNS企業が、ユーザーの政治的思想を基に、アカウントを凍結することを禁止する法案に署名した。
今年の1月に米連邦議会議事堂襲撃事件が起きてから、ツイッターやフェイスブックは、扇動する投稿を行ったとしてトランプ元大統領のアカウントを凍結した。
また以前から、共和党の議員は、フェイスブックやツイッター、その他のSNS企業が、保守的な見解の投稿などを検閲しているとして、非難し続けてきたという。
「現代の公共の広場」
今回、Abbott知事が署名した法案により、今後5000万以上のユーザーを持つSNS企業は、政治的な思想により人々のアカウントを凍結できなくなる。
またこの州法は、フェイスブックやツイッターだけでなく、GoogleのYouTubeなどにも適用され、今年の12月から施行されるそうだ。Abbott知事は、次のように述べている。
「SNSのウェブサイトは、現代の公共の広場となっています。そこは健全な人々の議論する場となっており、情報が自由に流れるべきです。しかし今では、保守的な考えや視点を封じ込めようとする、SNSによる危険な動きがあります」
SNS側は保守的な意見の封じ込めを否定
これに対し、SNS企業側は、保守的な意見を封じ込めていることを否定。しかしながら、これらの企業は、暴力の扇動や、デマを協力して流すコンテンツを禁止にする利用規約を適用している。
今回の法案について批判的なNetChoice社のスティーブ・デルビアンコ社長は、次のように述べている。
「(今回の法案は)民間会社がプラットフォームにおいて、どんな種類のコンテンツを許すのかを決める権利、憲法上の権利を尊重していません。この法案は保守的な価値観を放棄し、憲法修正第1条に違反し、ウェブサイトにわいせつ、反ユダヤ、人種差別、憎悪などのひどいコンテンツのホスト役を強いるものだ」
実は今年の5月に、フロリダ州でも同様の州法が導入されたが、その法案の一部は、米国憲法修正第一条における表現の自由に違反しているとして、連邦判事によって執行停止されている。
公平・公正でなければならない
確かに、プラットフォームにおいて、どんなコンテンツを許容するかの判断は、その民間企業に委ねられている。しかし現在、SNSが情報の公共インフラとなっている以上、判断は公平・公正でなければならない。
しかし特にフェイスブックは、有名人以外のアカウントの場合、一方的に凍結しておきながら説明もせず、検証も行っていない。アカウント再開のために裁判を起こして、訴えることもできない状態が続いている。
ヨーロッパなどではSNS企業に対し、誹謗中傷に素早く対応するよう義務付けており、また無実の罪でアカウントを凍結された人を救済するよう、制度が整いつつあると言われている。(了)
出典元:BBC:Texas passes social media ‘de-platforming’ law(9/11)