ロシア経済、西側の制裁にもかかわらず予想以上に良好:IMF
国際通貨基金(IMF)は7月26日、メディアの取材に対し、ロシアの経済状況について語った。
IMFのチーフエコノミストが発言
IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリヴィエ・グーリンシャス氏は、AFPの取材に対して、西側の制裁にもかかわらず、ロシア経済は高いエネルギー価格の恩恵を受け、予想以上に嵐を乗り切っていると述べた。
そもそもウクライナ侵攻以来、西側が科してきた制裁は、ロシアを金融システムから切り離し、戦争に必要な資金を枯渇させることが目的だった。
IMFの最新の経済見通しでは、ロシア経済は6%縮小すると予想され、景気後退の規模は大きいが、それでも今年の国内総生産(GDP)予測は2.5%と大幅に上方修正されたという。
金融メルトダウンを食い止め、価格も上昇
グーリンシャス氏は、ロシアの景気後退が予想ほどひどくなかった主な理由を、次のように説明している。
「ロシア中央銀行とロシアの政策立案者は、制裁が科された当初、銀行パニックや金融メルトダウンを食い止めることができた 。(一方でエネルギー価格の上昇は)ロシア経済に膨大な収益をもたらしている」
「原油価格は年初に1バレル80ドルを下回った後、3月には129ドル近くまで急騰。その後、欧州の主要指標であるブレント原油価格(北海ブレント原油:3大原油価格指標の1つ)は7月26日には、105ドル未満に落ち着いた」
「アメリカや中国を含む主要国の景気は減速しているが、ロシア経済は、原油と非エネルギー輸出が予想以上に持ちこたえたため、第2四半期の経済の収縮が従来の予測よりも小さくなったと推定されている」
World may soon be on edge of recession, says IMF’s top economist Pierre-Olivier Gourinchas @moneycontrolcom https://t.co/NXRgD7AwUe
— Shounak Banerjee (@shounak1985) July 26, 2022
しかし将来、リバウンドはない
「しかし(この先)リバウンドはない。実際(IMFは)2023年のロシアの成長率を下方修正している、4月の予測より1.2ポイント低い、3.5%の縮小としている」
このロシア成長率の下方修正は、これまで実施されている制裁と、最近ヨーロッパが発表した制裁を加味したもので、制裁措置の累積効果も時間の経過とともに大きくなってくるという。
その上で、グーリンシャス氏は「全体として、世界はまもなくリセッション(景気後退)の端緒につくかもしれない」と指摘している。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war: Zelenskiy accuses Russia of using rising gas prices to terrorise Europe – live(7/26)