EUがロシアとのビザ円滑化協定の中止を検討、申請がより困難になる可能性
イギリスのメディア「フィナンシャル・タイムズ」は、今週EUがロシアとのビザ渡航の協定を一時停止する方針だと報じている。(アイキャッチはイメージ)
協定停止を支持する予定
そもそもEUとロシアの間では、人々の自由な移動を促すため、2007年に渡航手続きをより簡素化するビザ円滑化協定が結ばれていたという。
しかしロシアのウクライナ侵攻後、ロシア人観光客が自由にEU内を旅行できる措置を見直すよう求める意見が、東部のEU加盟国から出ていた。またウクライナのゼレンスキー大統領も、西側諸国に対し、ロシア人の入国禁止を求めてきた。
そして今回、EUの閣僚は第一段階として、8月30日からチェコ共和国のプラハで開かれる2日間の会議で、EUとロシアのビザ円滑化協定の停止を支持する予定だという。
このビザ円滑化協定が停止されれば、ロシア人がEU圏内を移動する際に、書類を取得することがより難しく、より高価になると「フィナンシャル・タイムズ」は報じている。
より多くの書類が求められ、費用も高価に
今回の協議に携わるEU高官は、次のように述べている。
「ロシア人観光客が我々の都市やマリーナを散策するのは不適切だ。我々はロシアの人々に、この戦争は許されないという信号を送らなければならない」
すでに今年の2月後半には、ロシアの政府高官やビジネスマンの自由な移動に関する協定の一部は、中断されていたという。
また今回、ビザ円滑化協定が停止されれば、EUビザを申請する際にすべてのロシア人への優遇措置がなくなり、より多くの書類が求められ、申請費用もより高価になり、待ち時間も大幅に増加すると考えられている。
しかも取材に応じたEU高官は、年内にもさらに大幅な変更が導入される可能性があると述べたそうだ。
アメリカは入国規制に反対
一方、アメリカの国務省は、ロシア国民全員に対するビザ発給を全面的に禁止する考えを支持しないと述べている。
国務省の報道官は、人権侵害にさらされやすい政府批判派などの人々の避難経路や安全への通路を閉じてしまいたくはない、と説明している。
一方、これまでもチェコ共和国やエストニア、ラトビアなどを含む一部の国々は、ロシア人の入国規制について賛成してきたという。(了)
出典元:The Guardian:Reports EU set to suspend visa travel agreement with Russia – as it happened(8/28)