イタリアの上院議員が、AIで生成した文章を使い議会で演説
イタリアの議会で上院議員が演説し、その内容がAIによって書かれたものだったと明らかにした。
AIによって作られたと告白
その上院議員とは、中道派のマルコ・ロンバルド氏だ。
彼は先日、イタリア議会において、スイスとの様々な二国間協定をテーマにした演説を行った。
しかしその後、ロンバルド議員は、この演説内容がAIによって作られたと告白。他の議員に対して、この試みは、人工知能がもたらす機会とリスクに関する「真剣な議論」をかき立てるための演出であった述べた。
また同僚の議員に対して「人間の知性によって作られた文章と、人工知能のアルゴリズムによって作られた思考の流れを区別できる人が、今日どれだけいるでしょうか」と疑問を投げかけたという。
「瞬時に」スピーチが作成された
ロンバルド議員は6月1日、ロイター通信に対して、演説の内容がOpenAIのチャットボット「GPT-4」によって作成されたと明らかにした。
ロンバルド議員は取材に対して「必要な情報をソフトウェアに入力するのに2、3時間かかり、その後瞬時にスピーチが作成された」と語っている。
ロンバルド議員が所属するアジオン党のカルロ・カレンダ党首はツイッターで、議員が議場で発言した内容は「非の打ち所がない」としながらも、「われわれが見ているのが進歩なのか一歩後退なのか、私にはまだわからない」と投稿したという。
ロンバルド氏も、最近のAIの発展には感銘を受けたとしながらも、規制とイノベーションの正しいバランスを取るために、この技術に対する理解を深めるよう呼びかけた。
EUでは規制の草案を作成中
今年の5月、ChatGPTは、プライバシー侵害の可能性があるとして一時的に禁止されていたが、イタリアでは再び稼働したという。
5月31日、欧州連合(EU)の技術責任者Margrethe Vestager氏は、生成AIの自主的な行動規範の草案が「今後数週間以内に」作成され、業界が署名するための最終案が「非常に近いうちに」作成されるとの見解を示している。
実はイギリスの議会でも、2022年、保守党議員のルーク・エヴァンス氏が、人工知能によって書かれたスピーチを披露したという。(了)
出典元:METRO:Italian senator reads AI-generated speech in parliament to ‘stir debate’(6/1)