フランス、新法令により「いじめの加害者を転校」させることが可能に
被害者が不登校になったり、転校したりすることが多い「いじめ」。なぜ被害を受けた側が、負担を強いられなくてはいけないのか。こんな不公平を是正する措置が、フランスでスタートした。
いじめは加害者が転校
8月16日にガブリエル・アタル国民教育・若者大臣が発布した政令では、いじめの加害者を転校させる措置が可能となる。
Mobilisation avec @GabrielAttal contre le harcèlement. Décret publié ce jour au JO. Il prévoit notamment la possibilité :
➡️de changer un élève harceleur d'école
➡️de sanctionner un élève auteur de cyberharcèlement contre un élève d'un autre établissementhttps://t.co/gnISjWv6OD https://t.co/OsYCJ67HHe— Edouard Geffray (@EdouardGeffray) August 17, 2023
具体的には、いじめ(意図的かつ反復的に他の生徒の安全や健康を脅かす行動)をしている中学生と高校生に対し、校長が措置を講じた後にもいじめ行為が収まらなかった場合に、その生徒を学校から退学するように市長に要請できるとしている。いじめ加害者が、転校後にその学年を終えることは、少なくとも保障されるそうだ。
この法令では、SNSで嫌がらせをしている他校の生徒も処罰の対象となる。法令施行の翌日である8月17日から有効とのことなので、9月に始まる新学年を安心して迎えた学生も多いことだろう。
いじめ被害者の自殺がきっかけ
この法令のきっかけは、今年の5月にいじめ被害者であるリンジーさん(13歳)が自殺したことだ。「学校でのいじめへの対応は、容赦なく行われなければならない」と、アタル大臣はコメントしている。
実はフランスでは2022年3月から、学校でのいじめは刑事犯罪となっており、いじめの被害者が自殺または自殺未遂をした場合には、最高で10年の懲役と15万ユーロの罰金が科せられる。
いじめに対して、強い対抗策を打ち出しているフランス。今回のような法令が必要なのは、フランスだけではないだろう。(了)
参考:「French school bullies now face a move, not the victims, thanks to new law」(8/18)
アイキャッチ画像出典元:Tiomax80/flickr