星の形成に必要な暗黒物質、存在しない銀河が初めて発見され衝撃が広がる


暗黒物質(ダークマター)が存在しない銀河が発見されたとして、話題となっている。

 

そもそも暗黒物質とは?

 

この発見は3月28日に学術誌「Nature」上で発表された。

 

暗黒物質とは宇宙の質量の27%ほどを占めているとされながらも、光を放出しないため未だ観測されておらず、正体不明となっている物質のこと。

 

一方この存在は、銀河における重力効果を説明するための仮説として認められてきた。

 

また天文学者の間では暗黒物質が、宇宙上に漂うガスを重力によって惹き付けることで星の形成を助けるとともに、銀河を形作る上においても重要な役割を占めていると考えられていた。

 

太陽系がある銀河と同程度でもダークマターはなし

 

一方、今回発見された暗黒物質を持たない銀河は推定年齢100億年で、くじら座の方向に向かって地球から6500万光年彼方に位置する「NGC 1052-DF2」だ。

 

 

この発見にあたっては、ハッブル宇宙望遠鏡と地上の望遠鏡からの観察が行われたという。

 

今回の発見を行った宇宙科学者らによると、このNGC 1052-DF2は太陽系が存在する銀河と同程度の大きさであるとのこと。

 

ところがそれにも関わらずNGC 1052-DF2には、予想される総量の暗黒物質が存在しなかったという。

 

米国コネチカット州にあるエール大学の天文学と物理学の教授で、今回の発見にあたり研究チームを率いてきたPieter van Dokkum氏は、「暗黒物質を持たない銀河の存在は信じられない。なぜなら暗黒物質は銀河が単に捨て去ることができるものではないからだ」と驚きを語っている。

 

ブラックホールも存在しない

 

しかしNGC 1052-DF2において驚くべきことは、ダークマターの欠如だけではない。

 

この銀河においては、中心部にブラックホールが存在していないことも判明したのだ。

 

 

これまで天文学者らは多くの銀河はブラックホールを持つものとしてきたため、NGC 1052-DF2がこれを持たないことはさらなる謎を呼んでいる。

 

一方、米国ニューヨーク州にあるコロンビア大学の宇宙物理学者Jeremiah Ostriker氏は、NGC 1052-DF2が2つの銀河の衝突によって形成された可能性を指摘。

 

Ostriker氏は、2つの銀河が衝突することにより暗黒物質の代わりにガスが充満した空間が残され、それが結果的に星の形成につながったのではないかとする。

 

ただ今回の発見だけでは、なぜこのような銀河が形成されたのかを説明するには不十分だ。

 

「もしこのような銀河が数多く存在する、あるいはこれが銀河において通常のことであるとするならば、非常に興味深いことです」と語るvan Dokkum氏。

 

暗黒物質を持たない銀河の発見が、天文学研究においてどのような影響をもたらすのか、今後が楽しみだ。(了)

 

出典元:NBCNews.com:This weird galaxy has astronomers rethinking a key theory(4/3)

出典元:The Verge:Rare galaxy found without any dark matter(3/28)