体外受精によるシロサイの妊娠に成功、絶滅の危機から救える可能性
すでに頭数が少なくなっているシロサイに体外受精が行われ、科学者が妊娠に成功したと明らかにした。
ミナミシロサイの代理母が妊娠
この研究を行ったのは、ドイツ政府の支援を受け、絶滅を阻止することを目的とした団体、「バイオレスキュープロジェクト」の国際研究チームだ。
彼らは2023年9月に、ケニアのオル・ペジェタ保護区で、2つのミナミシロサイの胚を代理母に移植し、妊娠に成功させたという。
父親と妊娠していた母親のサイは、お腹にいた胎児が70日目の時に、稀な細菌感染症に罹患して死んだそうだ。
しかし研究者らは、この妊娠が体外受精の有効性を示した証拠だと考えている。
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キタシロサイにもこの技術を適用
人間や馬や牛では一般的になっているが、実はこれまで、このような体外受精はサイには行われてこなかったという。
しかし今回、ミナミシロサイの妊娠に成功させたことで、稀少なキタシロサイにもこの技術の道が切り開かれた。
2018年、最後のオスのキタシロサイ「スーダン」が死んだ後、この種の絶滅は差し迫っていたそうだ。
不妊のメスのキタシロサイは「ファトゥ」と「ナジン」の2頭だけ。これらのサイは現在、ケニアの保護区において 24 時間体制で保護下に置かれている。
今年にもキタシロサイに移植
研究者らは、今年の5月か6月までに、キタシロサイの最初の胚を移植する計画を立てているという。
キタシロサイの胚は、すでに死亡した2頭の雄から採取された精子と。「ファトゥ」から採取された卵子を使って作られている。
それらはケニアに生息する、ミナミシロサイの代理母に移植される予定で、残りの胚はわずか30個しかなく、ドイツのベルリンとイタリアのクレモナで、マイナス196℃の液体窒素の中で保存されている。
そして16カ月の妊娠に成功すれば、2000年以降初めて誕生するキタシロサイとなるそうだ。またこの技術により、野生下で約40頭しかいないスマトラサイの保護にも、道が開かれる可能性があるという。(了)
出典元:The Guardian:Just two northern white rhinos remain. The species’ first IVF pregnancy could save them from extinction(1/24)