かつて火星は地球に似ていた可能性、酸化マンガンが豊富な岩石を発見
これまで考えられていたよりも、古代の火星は地球に似ていた可能性が指摘されている。
「キュリオシティ」が岩石を発見
NASAの火星探査ローバー「キュリオシティ」は、古代の湖底「ゲイル・クレーター」の中央を移動した時、激しく浸食された岩石に遭遇したという。
そして組成分析装置「ChemCam」によって調べた結果、その岩石には酸化マンガンが半分以上も含まれていることが明らかになった。
このことから古代の火星が、地球と同じような酸素濃度と、生命に適した条件を備えていた可能性が示されたそうだ。
酸素や微生物により作り出される
NASAは地球上にある「マンガン」を、「生命の進化における縁の下の力持ち」と呼んでいるという。
実際、マンガンは40億年前、地球に最初期の生物が存在する前に、地球の岩石や海に豊富に存在し、酸素への道を切り開いたと言われている。
そして酸化マンガンが作られる唯一の方法は、豊富な酸素、または微生物の関与だ。実際、地球上ではマンガン酸化物を含んだ岩石は、酸素と生物の関与で簡単に作られるという。
しかし火星には、酸素もなく、微生物も発見されていない。そのため科学者は、酸化マンガンがどのように生成されたのか、困惑しているそうだ。
今回の研究論文の筆頭筆者で、アメリカ・ニューメキシコ州にあるロス・アラモス国立研究所のパトリック・ガスダ氏も、次のように語っている。
「もちろん私たちには、火星に生命が存在するという証拠がありません。したがって、完全に非生物的なシステムで酸素を生成しようと(理解)しているのであれば、火星についての現在の理解ではそれが説明できません」
ただし、この岩石の発見により、古代の火星が地球に似ていたとする仮説には、異論を唱える科学者もいるという。(了)
出典元:Livescience:Mars may have been more Earth-like than we thought, discovery of oxygen-rich rocks reveals(5/6)