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最新式の地震予測システム、鍵を握るのは野生動物の動き?

最新式の地震予測システム、鍵を握るのは野生動物の動き?
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地震大国日本に暮らす我々が最も恐れることの1つといえば、巨大地震に直面することではないだろうか。

 

地震予報システムも発展を遂げてきてはいるが、それでも東日本大震災における甚大な被害を食い止めることはできなかった。

 

しかし昨今、これまでの地震予報システムとは全く異なる新たなシステム構築のための研究が進んでいる。

 

野生動物で地震を予測?

 

そのシステムの鍵を握るのは、野生動物の動きだ。

 

これまで何世紀にもわたり、地震が発生する数時間前から一部の野生動物が奇妙な動きを見せる事例が報告されており、野生動物には地震が今にも発生しようとしていることを感じる能力があるのではないかと考えられてきた。

 

一例としては、蛇が巣穴から逃げ出したり攻撃的になる、また鳥の群れが集団で移動する、などが挙げられる。

 

これについて、今回のプロジェクトInternational Cooperation for Animal Research Using Space(ICARUS)を率いるMartin Wikelski氏は、「かつての地震に関する科学的データにおいては、一部の動物が地震発生数時間前にそれを感知していることが示唆されている」という。

 

Wikelski氏は、現行の地震予報システムでは地震発生直前の数秒前にしか警告を発することができない点を指摘。

 

「もし我々がこれを疑問がない程度までに実証することができれば、将来数百人や数千人もの人々の命を救うポテンシャルがある」としている。

 

Pexels

 

1万以上もの野生動物の動きを追跡

 

しかし、ICARUSは一体どのようにして野生動物を追跡することで、地震の予報を行おうとしているのだろうか。

 

同プロジェクトにおいては、4年間にわたり世界中の地震が頻発する地域における1万以上もの鳥やコウモリ、牛などといった野生動物にセンサーが取り付けられた無線送信機を装着。

 

装着された無線送信機は動物の情報を収集し、国際宇宙ステーションへと発信。届いた情報はそこからICARUSの研究所へと分析のため送信されるという。

 

また今年の10月より、地震発生の前に野生動物が普段と異なる動きを見せるか否か判断するため、収集されたデータの研究が開始される。

 

その結果、もし野生動物に普段と異なる動きが見られることが認められた場合には、それが地震予測のため信頼に足るものであるか否か判断が行われるとのことだ。

 

さらにWikelski氏はデータが地震予測のため信頼に足るものであった場合、地震発生の数時間前に警告を発することのできるアプリ等に使用可能であることを指摘。

 

このようなアプリの存在は、地震頻発地域の中でも貧しく、地震予報システムが存在しないネパールやパキスタンの田舎などでは非常に重要なものであるとしている。

 

ネックは様々な種への無線送信機の装着

 

この研究において最大のネックとなるのは、様々な種の野生動物に無線送信機を装着するということだ。

 

この無線送信機には、野生動物の現在地の測位と移動速度の計測、さらには心臓の鼓動の速さを測定するため、GPSレシーバーとセンサーが取り付けられている。

 

また現在のところ無線送信機付きのタグは数グラム程度の大きさのものとなっているが、ツグミなどの小鳥やさらには蜂にまで装着できるよう、さらに小さなタグの開発も進められているという。

 

この理由としては、一部の野生動物にとって地震は差し迫った危機であり、それゆえそのような動物にタグを取り付けて動きを把握するということは、他の動物の動きを研究するよりも効果的と考えられるからだ。

 

MaxCine/MPI f. Ornithology

 

研究には懐疑的な声も

 

一方、野生動物が地震の前に通常と異なる動きを見せるということは科学的根拠がないとして、研究に対しては懐疑的な声が上がっているのも事実だ。

 

米国ロサンゼルスの非営利組織「Southern California Earthquake Center 」のJohn Vidale氏も同研究に対して懐疑的な見方を示す人物の一人。

 

同氏は野生動物の膨大なデータを収集することは理にかなっているとしつつも、地震予測のためにそれを利用するという戦略には懐疑的なようだ。

 

「動物は我々が未だ測り知ることのできない事象に対して敏感であるかもしれず、どのような可能性も排除できないが、大きな期待はしていない」と語るVidale氏。

 

さらにVidale氏はこの理由として、こう語る。

 

「我々は複数の地点において何年にもわたり、動物からほど近いところに機器を設置してきた。しかし地震の前に動物が何かに気付いたことを機器が示したという事例は、未だ見られていない」

 

Pexels

 

世界においては毎年1万2000~1万4000回もの地震が発生しているという。

 

さらに米国政府による科学的研究機関であるアメリカ地質調査所の研究によると、次世紀にかけて最大で310万人もの人が地震によって命を失う可能性があるとのことだ。

 

野生動物の追跡により地震の予測を行うという最新の研究。この研究の成果が地震予報システムに活用される日が一刻も早く来ることを願うばかりだ。(了)

 

 

出典:NBCNews.com:Wild! Tracking animals from space could predict earthquakes on the ground(8/24)

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